もう無理かも~in×ar (ページ10)

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10、side有岡ページ10

雑誌の撮影日
知念がいのちゃんの横に座るのを横目に見ながら、山田とのツーショットをいろんなアングルで撮られていく

知念と何話してんだろ、いのちゃん

･･･俺の方、見てる？

なんだろう･･･？

｢有岡くん、表情ちょっとかたいかなー｣
力抜いてねー、とカメラマンに諭され、ハッと我に返った
｢っあ、･･･すみません｣
｢･･･大丈夫？大ちゃん｣
表情を崩さないまま、目と声だけで心配してくれる山田に、すこし心苦しくなる
･･･いのちゃんが気になって、とか
ほんと女々しいな俺
ちゃんとプロとして山田見習わないとな
｢ごめんごめん、大丈夫｣
再びシャッター音が響く

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
｢ありがとうございましたー、次、伊野尾さんと知念
さんでーす｣
｢ありがとうございましたー｣
挨拶しながら、飲み物を受け取る

ああ、次はいのちゃんと知念か
もしかして、さっき話してたのも撮影のことかな
･･･そうだったらいいな、なんて
嫉妬する権利もないのにさ

こっちに歩いてくる君をまた見つめる
俺の視線は
君にどんな形で受け入れられてるの

君との距離がやけにゆっくり縮まっていく

俺は逃げない

君が俺に狙いを定め･･･

｢･･･見すぎだよ｣

君の唇は、俺の耳元に逸れて囁いた

｢っ、！｣
慌てて振り返ったけど、見慣れたいのちゃんの背中が遠ざかっていくだけだった

なんで
なんでそんなの今さら
いつだって馬鹿みたいにポーカーフェイスのくせに
何気ない顔で『なに？』って聞いてくるくせに
ー『見すぎだよ』
今さら
赤面なんて、ずるいよ

｢･･･いのちゃん｣
俺の視線は
君にどんな形で受け入れられてるの