もう無理かも~in×ar (ページ9)

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9、side伊野尾ページ9

｢なんか思い詰めてるよねー｣
｢･･･え？｣
少しキーの高い声に顔を上げれば、知念の顔が目の前にあった

｢思い詰めてるって？俺が？｣
｢うん、らしくないよー？｣
ニヤニヤしながら隣に腰掛ける
｢なんか悩み？｣
｢あー、･･･いや考え事してた｣
｢ふーん･･･｣
聞いてきたのに興味なさげに相槌を打つ知念

正直、何年も前から同じ悩みに苛まれてんだけど
･･･まあ、言えるはずもない
ここにいられなくなるし

｢･･･好きだね、ほんと｣
｢･･･へ、？｣
終了したと思った会話が再開されたことはともかく、知念の言葉の意図を図りかねて、思わず聞き返した
｢好きって･･･なにが？｣
｢ん？ああ、大ちゃんが｣
｢何を｣
｢いのちゃんを｣
いっつも見てんじゃん、いのちゃんのこと
そう言って笑う知念の横でひとり、息を吐く

そんなふうに見えるのか、大ちゃんの行動って
『俺のことを好きだから見つめてる』
その『好き』に、深い意味があるわけじゃない
君の悲しい視線は、向けられてる俺にしかわからない

｢いのちゃんは？大ちゃんのこと好きなの？｣
にこにこしながら、わりと残酷なことを聞いてくる天使だ
｢好きだよ？｣
どうせ深い意味はないんだろ
｢へぇ、･･･あ、じゃあさ｣
身を乗り出した天使はにこにこ顔のまま
｢もう寝たの？｣
爆弾を投げてきた

｢･･･は･･･？｣
｢ん？･･･あ、ごめん、いのちゃんの好きって、そう
いう意味じゃなかった？｣
両思いだーとか思って、って相変わらずにこにこの知念に、今度は俺が聞き返す
｢待って、俺と大ちゃんのことマジでそういう関係だ
と思ってたの？え、いつから？｣
｢うん？何年か前くらいだよ、ほら、大ちゃんがすご
いいのちゃんのこと見つめるからさー、メンバーみ
んなそう思ってたけど｣
｢･･･まじか｣
にしても偏見なさすぎだろこのグループ

てか、大ちゃんの気持ちは？
そこ大事だろ、無視してもいいわけ？
｢見つめてるっても、むしろ悲しそうだと思うけど｣
当事者として反論してみると
｢いやいや、悲しそうに見つめるって｣
天使のにこにこが、苦笑に変わって

｢それこそ恋そのものでしょ｣
2つ目の爆弾が投げられた