17、side有 岡 ページ18
膝に埋めた顔を上げて、滲んた世界を見れば
目の前に、君の顔があった
「なに泣いてんの」
興味があるのかないのか分からない声色で、答えたくない質問を投げかけてくる
「泣い、って、な…っ」
泣いてない。たった5文字を言うだけで声が上ずった俺は、実際泣きじゃくっていた
よりにもよって、いのちゃんに泣き顔見られるとか…最悪
高校生の俺は、いのちゃんの真意にも気づかずに心の中で悪態をつく
「…そっか」
混じり気のない黒髪と同じ色の伏し目がちな瞳は、一瞬だけ揺れて俺を見つめた
「…な、に」
「振られたんだろ?」
「っ、…」
君の声から嘲笑とか、同情とかいう感情が全く読み取れなくて、……あと、バレてたことがショックで、俺はその目を思わず見つめ返す
「っんで知って、の…」
「光から聞いた」
光くん覚えとけよ
「言ったじゃん、芸能人と付き合うとか、女の子は耐えられないって」
「でもっ、まだデビューしたばっか…だし」
「だから忙しいんだろ。俺らに時間なんてないでしょ」
確かに、いのちゃん以外のメンバーも、彼女を作ることには肯定的じゃなかった
『会いたい』って言われても会えない日が圧倒的に多いし、事務所の目もあるし
「で、“こんなの付き合ってるって言わないわよ!”って振られたんだろ?」
「光くんぶっ飛ばしたい」
いつの間にか俺の頭を撫でていたいのちゃんがふふっ、と笑う
この人は、俺と1歳しか離れてないのになんでこんなに大人なんだろう
すっかり乾いた瞳で見つめ直すと、思った通り見つめ返された
君の瞳に籠る熱の意味はあまり理解できてなかった
この時も
…今も
ゆっくりと君が顔を寄せる
俺は逃げない
そっと距離を詰められ…
「…ごめん、大ちゃん」
君の温もりを知る
「…なんで泣くんだよ、大ちゃん」
「…わかんない」
気づいたら
滲んだ世界の中で、君しか見えなくなってたよ
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
内容を1部改変しました(12月10日)
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maimai(プロフ) - ぱんくんさん» 大好きです (2018年8月16日 15時) (レス) id: 1abc0d6970 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんくん - これでよろしいか (2018年8月16日 13時) (レス) id: d5a32181b2 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - 大崎楓さん» ユーザー名パンくんにしなさいあなた (2018年8月15日 20時) (レス) id: 1abc0d6970 (このIDを非表示/違反報告)
大崎楓 - 事変だなんて、照れるわ( 〃▽〃) (2018年8月15日 17時) (レス) id: d5a32181b2 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - 大崎楓さん» 歴史に残る事変ですなぁ (2018年8月15日 16時) (レス) id: 1abc0d6970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:maimai | 作成日時:2018年8月5日 11時