【銀魂】五回目の乾杯で酔えば【坂田銀時】

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先輩が途方もない重荷を抱えていたと知った俺は、どんなことでもいいから先輩の役に立ちたいと思った。

もちろん、愚痴を聞くとか相談に乗るぐらいのことしか出来なかったが、それでも先輩にとって少しは救いになっていたらしかった。



───同年12月。

テストの日だというのに遅刻した俺は、のんびりと校庭を歩いて、校舎に向かっていた。

すると、向こうから先輩が走ってくるのが見えた。

白い息を吐き、疾走してくる彼女からは尋常ならざる雰囲気が感じ取れて、妙に胸騒ぎがした。


『弟がまた何かやらかしちゃったみたいで……これから警察のところに引き取りに行かなきゃいけないの』

『は！？これから！？』


先輩の話に、俺は度肝を抜かれた。

先輩は高三である。そして、今日はテストの日で、しかも12月である。


『俺が代わりに行く』


迷わずにそう言った。

今度は先輩が驚く番だった。


『テストは休まねェ方がいいだろ』

『そ、それは坂田も同じ──』

『俺は高二だから、まだ大丈夫だ。でもアンタは高三だ、来月にゃセンターが待ち構えてるじゃねェか』

『……でも、親戚でもない未成年が身元引受人になるのは無理だよ』


先輩の唇が青くなっているのは、きっと寒さのせいだけではない。

そう思いながら、俺は、大丈夫だ、と言い切った。何とか誤魔化すから、大丈夫だ、と。

射るような俺の眼差しを受け止め、先輩は尚も悩んでいたようだったが、俺が警察署の名前を訊くと、教えてくれた。


『……本当に、いいの……？』


不安そうな顔。大きな瞳が水面のように揺れている。

俺はにやりと笑って、大きく頷いてみせた。


『その代わり、今度パフェ奢ってくれよ』


一限の予鈴が鳴った。

校舎に駆けていく先輩を見送り、俺は先程くぐったばかりの校門を抜けた。



俺は一旦家に帰ると、それなりにきちんとした服装に着替えた。

そして、念のために竹刀を持ち、指定された警察署へと急いだ。



警察署に着くと、それらしい少年が屈強な警官に挟まれて座っているのが、まず目についた。

俺はソイツが先輩の弟だと踏んで、声をかけた。


『すいません、うちの者が迷惑をかけて』


警官二人がじろりと、少年が「誰だコイツ」という目で俺をねめつけた。

身分証明書の提示を求められたので、素直に応じる。

そして、『従兄弟で、Aの代わりに来た』と言うと、少年が『ったく、遅ェよ兄ちゃん』と口裏を合わせた。

……早熟な弟だ。

警官は俺達の嘘を見抜いていたようだったが、少年に居座られても困るのだろう、書類にサインをすると、帰してくれた。

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