【銀魂】五回目の乾杯で酔えば【坂田銀時】

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白米と一緒にすき焼きを頬張る俺を、先輩は目を細めて心底嬉しそうに見ていた。

「こんなに美味しそうに自分の料理を食べてもらったのは久しぶり」


その台詞に引っ掛かりを覚え、俺はしらたきを飲み込んでから首を傾げた。


「久しぶりっつっても、この前お粥を作ってくれたじゃねェか。あれも十分うまかったよ」

「あれは坂田との共同作品だからノーカウントなの」

「料理が作品かよ。料理研究家みてェなこと言うなあ」


味噌汁に口をつける手前で先輩はくすっと笑い、一口飲んでから、また俺を満足げに眺め始めた。


「ちょ、その目やめてくんない？食いにくいんだけど」

「あはは、坂田照れてる。面白いからこのまま見てようっと」

「先輩、ドSだったんすか」


俺のツッコミに先輩はコロコロと笑った。

顔色もいいし、実に上機嫌だ。


……くそ、可愛い……。


屈託のないその笑みに、どうしようもなくどぎまぎしてしまった俺。

あれほど求めてやまなかった先輩の視線だが、いざ独り占めしてみると、心臓が持たない。


……つーか、この状況、俺、最高に幸せじゃん。


目の前には大好きな人がいて、その人の手料理を食べられて、その人の視線も笑顔も時間も独り占めできて。

一緒に年を越せるなんて、幸せすぎる。

そんな幸せと一緒に、最後の米を飲み込んだ。


「……ご馳走さまでした」


俺が手を合わせて数分も経たぬ内に、先輩も完食した。

鍋も茶碗も、全て空っぽだ。

そんな光景を前にして、先輩はご満悦だった。


「よし、じゃ、坂本くんの日本酒開けちゃおう」

「そうだな」

「あ、いいよ、坂田は座ってて」

「そうか？悪ィな」


一度上げかけた腰を椅子に落ち着け、鼻唄混じりにキッチンに向かう先輩を見送る。

台所に回った先輩は、紙袋から例の日本酒を出した後、戸棚から猪口を二個取り出し、酒瓶と一緒に盆に載せた。

それから、そうだ、と俺を見、


「おつまみに、チョコレートでも食べる？」

「それって、甘いやつ？」

「もちろん」


その答えにチョコを所望すれば、先輩は冷蔵庫からチョコを出して、皿に盛り、それも盆に載せた。

てきぱきと一連の動作をこなしていく先輩に、見ているこっちは見惚れしてしまって。

うっかり、思っていたことをそのまま声にしてしまった。


「……ほんと、すげー好き」


目を見張った先輩と思い切り視線が交わった。

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