【銀魂】五回目の乾杯で酔えば【坂田銀時】

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留守電に入れてきた、と部屋に戻ってきた先輩。


「留守電って話しにくいねー。一方的に自分の要件だけ話すのって、なんか調子狂うよ」

「お疲れ。……たしかに果たし状みたいになりそうだもんな」


ソファーにどっかりと腰を下ろし、先輩はクスクス笑った。


「もろ果たし状だったかも」

「マジか、俺だったら絶対行かないわ」

「ちょっと、不安にさせるようなこと言わないで」

「冗談だって。俺もここでちゃんと祈ってたし」


胸を張って言えば、えー本当にやったんだ、と先輩は驚き顔を見せた。

もしかして、それこそ冗談だったのだろうか。

だとすると、本気で祈ってしまった自分が恥ずかしい。


「坂田って、変なところで真面目だよね」


先輩はコートのボタンに手を掛けながら笑い、


「それはそうと、そろそろ朝ごはんでも食べない？」


あっけらかんと話題を変えてしまった。

テレビの上に掛けてある時計を振り返ると、時刻は11時を過ぎている。

朝飯というより、早めの昼飯といった感じか。


頭の向きを正面に戻し、コートを脱ぎ終えた先輩に歯切れ悪く訊ねる。


「ええっと……もしや、うちで食う気？」

「え、ああ、坂田の迷惑になるなら外でいいよ」

「いや、迷惑じゃあねェんだが……米がねェかもしんねェ」


台所に確認しに行こうと腰をあげると、呆れ顔の先輩にコートを脱いだ方がいいのでは、と指摘された。

……いけねェいけねェ、身体の一部になりかけちまってるぜ。

コートを脱ぎ、先輩の分も一緒にハンガーに掛けに行こうとすると、彼女も後ろからひょこひょこと着いて来た。


「坂田ん家、意外ときれいだね」

「“意外と”は余計だ」

「もしかして、大掃除したばっかとか？」

「んな訳ねェだろ。俺の家は常時この美しさを保ってんだよ」


どうだか、と背後で苦笑をこぼす声。

……見事に図星だ。

まさに先輩の言う通り、昨日なんとなく気が向いた俺は、リビングと台所を大掃除してみたのだ。

……昨日の俺、ありがとう。愛してる。

ちなみに、その際に見つかった行き場のないガラクタたちは現在、俺の寝室でおしくらまんじゅう中なので、寝室を見られれば、一巻の終わりだ。

それに、ハードコアの薄い本やら雑誌やらが畳に彩りを加えている可能性もかなり高い。というか、一昨日読んだ記憶があるので、確実に落ちている。

……何があっても寝室は死守しよう。

自分の細胞たちにそう言い聞かせながら、俺はコートをハンガーに掛けたのだった。

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