表裏一体の幸せを ページ43
白神side
紫杜くんは、自分のことのように辛そうに、傷ついた表情で私の話をずっと聞いてくれていた。
自分のことよりも他人を優先する人だから。
他人の傷を自分の傷のように苦しんで、抱えてしまう人だから。
言いたくなかった、のが本音だ。
紫杜くんに出会えたから、橙瑠くんや竜くん、瑠衣くん、莉玖くんに出会えた。
女の私を、すとぷりに誘ってくれて、迎え入れてくれて。
性別非公開とはいえ、一応男性として活動することが、応援してくれるリスナーを騙しているようで、申し訳なかったけど。
すとぷりを守るために仕方ないと、割り切って。
それでも、楽しくて。幸せで。
もちろん辛いこと、悔しいこと、悲しいこと…上げ出したらキリなんかないけど。
彼等となら乗り越えられた。
配信も、動画も、歌も、ライブも。
正直、男性であるみんなに体力で着いていくことは、大変を通り越していたけど。
それでも、応援してくれるみんなの笑顔や声が嬉しくて、
みんなが魅せてくれる景色が、幸せで、
乗り越えることができていたんだ。
だけど。
きっとこれ以上は、もう________
今以上に、迷惑をかけてしまう。
迷惑どころじゃない、もっと大きなことが起きてからじゃ、もう遅い。
今の自分の体力では。
人の姿よりも、猫の姿の方が過ごしやすくなっていたことを、認めざるを得なかった。
それが導く答えは、ひとつ。
私の、白神Aという存在が、いつ消えて無くなるか分からないのだ。
みんなとの、思い出も。
私が消えるということは、完全なる“のあ”の消滅。
突然、そうなるのだけは避けないといけない。
だから、ね?
「なーくん…いや、ななもり。さんお願いがあります」
「何言われるか、想像はついているけど…すとぷりのリーダーとして話を聞こうか」
「A、ダメだ、やめてくれ…」
私の手を取って首を振る桃里くんに、ごめんね、と微笑んで。
真っ直ぐと、全てを見透かすような目で僕を見るなーくんと目を合わす。
「僕を…のあをすとぷりから脱退させて下さい」
のあの命がここにあるうちに。
私が私でいられるうちに。
この手で全て。
終わらせたいの。
表裏一体の幸せを
(それでもきっと貴方は)
(私の覚悟を聞いた上で)
(1つの答えは揺るがないのでしょう)
(それなら、私は_________)
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風雅(プロフ) - ゆあさん» 初めまして。コメントありがとうございます。少しずつですが、更新できるように頑張らせて頂きます。今後ともよろしくお願い致します! (2019年10月12日 9時) (レス) id: 4353acba07 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!!頑張ってください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: ae1b37537f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風雅 | 作成日時:2019年10月2日 16時