残酷に隠された覚悟 ページ42
ななもり。side
壮絶な、過去だった。
Aちゃんと桃里くんが抱えて、今まで戦って来たものは、俺の想像をはるかに超えていて。
本当にそんなことあるのか、なんて。
初めは思っていたけど、彼女の持つ痣が、それが現実であることを証明していた。
「雪がかけた呪いは、白神家に生まれた女性に対する憎しみ。それが怨念となり取り残された。当主の罪を許さない為に、自身と同じ姿にすることにして」
「じゃあ、ユキちゃんは…」
「そう、私の呪われた姿。そして、あの時のことは私の記憶になくて…だから、混乱して取り乱しちゃったの。迷惑かけて、ごめんなさい…」
「いや、それは全然…記憶がない、ってどういうこと?あれはAちゃんなんでしょ?」
「今までは、こんなことなかった。自分の意識として、確立していた。でも、あの時は私の意識はなかった。あの姿に、全てを乗っ取られていたんだと、思ってる」
「そんな…っ、やから桃里くんあの時不安そうに」
「はい…いつもと様子がおかしかったし、自分から七瀬さんと橙瑠のところに来るなんておかしいと思ったから」
「…きっと、もう時間はあまり残されてないの。いつ私が元に戻れなくなるかも、ユキに全て持っていかれるかも、分からない。私の意識のまま戻れなくなるならまだいいけど、最悪の場合、意識も、記憶すらなくなる…桃里くんや紫杜くん達との思い出も、全部…」
語られる残酷な現実と未来。
淡々と話すAちゃんの笑みは、すでに諦めてしまったような、そんな表情だった。
言葉が、出なかった。
なんて声をかけていいか、分からなかった。
リーダーなのに、大事なメンバーなのに。
俺たちのことを支えてくれた、大切な、友人なのに。
何も、できない自分が、悔しい。
「みんなに、紫杜くんに話すつもりはなかった。こんな、非現実的な出来事も、呪いも背負わせたくなかったから。だから、そんな顔しないで?紫杜くんにどれだけ助けられたか、救われたか、分からない。紫杜くんのおかげで、今の私は、“のあ”は、存在出来てる」
俺の顔に出ていたのか、穏やかに、話すAちゃんに。
どこか覚悟を決めているその目に。
____なーくんに、1つ願いを聞いて欲しい。
嫌な予感が、胸の中に渦巻いた。
残酷に隠された覚悟
(____もう永くないかもしれません)
(桃里くんのその言葉の意味を)
(愚かな俺は、ようやく理解したんだ
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風雅(プロフ) - ゆあさん» 初めまして。コメントありがとうございます。少しずつですが、更新できるように頑張らせて頂きます。今後ともよろしくお願い致します! (2019年10月12日 9時) (レス) id: 4353acba07 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!!頑張ってください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: ae1b37537f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風雅 | 作成日時:2019年10月2日 16時