白桃の甘い幸せ ページ38
さとみside
“護り猫の刻印”
その話を知ったのは、俺もAもまだ小さい頃だ。
いわゆる、幼馴染だった俺達は、兄妹のように育った。
いつも一緒。
そんな俺はよく、Aの彼女の家にも遊びに行っていて。その時に、その話を聞いた。
当時の彼女は怖がっていたけれど、俺はお伽話の様な空想的なその話を信じていなかったし、笑って冗談だって、言ってた。
年齢を重ね、小学生、中学生、高校生…と上がるにつれて、“幼馴染”としての“好き”はその形を変えていくのを実感していた。
白くて美しい絹のような髪を持つあいつは、好奇の目で見られたり、腫れもののような目で見られることが多くて。
心無い言葉を言われた時も。
………不慮の事故で、両親を失った時も。
____大丈夫だよ
辛くて悲しいはずなのに、ふわり、と笑う。そんなアイツを、見ていられなくて。
守りたかった。
____お前が好きだ
____幼馴染ではなく、1人の女性として
人生で1番緊張したのではないか、そう思えるほどの一大決心だった。
多分、俺の顔は真っ赤で。
恥ずかしくて、返事が怖くて。
思わず目を瞑る。
長かった。
どれくらい時間が経ったのか、きっと時間にしては数十秒。それでも数分以上に感じたその時間。
____桃里くん
アイツの綺麗な声で名前を呼ばれるのが好きだ。
その声に、そっと目を開けた途端、ぽす、という音とともに前から衝撃が来て。
驚いたけど、倒れないように支えれば、俺に顔を埋めるAの姿。その耳は真っ赤に染まっていた。
そんな彼女の様子に、緊張もほぐれて。肩の力がふ、と抜ける。
サラサラの髪をすくように撫でる。俺だけが許された、俺だけの特別な時間。
____返事、教えてもらえる?
そう問いかければ。
____好き。ずっと、ずっと桃里くんが、好きだよ。
顔を上げてそう言う彼女に。
____愛してる
俺だけに見せてくれる、可愛いその笑顔と。
その唇に、キスを落とした。
白桃の甘い幸せ
(目いっぱいの涙を浮かべながら)
(嬉しそうに、幸せそうに)
(笑う彼女の姿は)
(一生、忘れない)
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風雅(プロフ) - ゆあさん» 初めまして。コメントありがとうございます。少しずつですが、更新できるように頑張らせて頂きます。今後ともよろしくお願い致します! (2019年10月12日 9時) (レス) id: 4353acba07 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!!頑張ってください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: ae1b37537f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風雅 | 作成日時:2019年10月2日 16時