絶望的な一言 ページ26
白神side
きっかけは、紫杜くんの、何気ない言葉だった。
「そういえば、ユキちゃんおらんの?」
「….っえ!?紫杜くんユキの事知ってるの!?」
「ん?あぁ、この前お泊まりした時にさ、桃里くんと橙瑠くんとお話ししてる時に部屋に入って来てね、桃里君から聞いたんよね。真っ白で小さくてめっちゃ可愛かった!」
紫杜くんのお仕事を手伝うことと、コラボの動画を録りたくて相談したら、来てくれるとのことだったから、家に来てもらったのだ。
ちょうど、桃里くんは外で打ち合わせがあって家にいないし、1人は少し寂しいし。
そう、思っていたんだけど。
仕事に関することが一区切り付いて、紫杜くんのコーヒーを淹れようと台所に立っていた時だ。
ひなちゃんとモカちゃんを優しく撫でながら、そう言う紫杜くん。
きっと、彼にとっては何気ない一言。
でも、私にとっては重大な、一言。
「…お泊まりの時、って何時くらい?」
声が震える。手が、震える。
ドクドク、と心臓の音がうるさい。
聞いといて、あれだけど。
言わないで、欲しいと願っている自分がいる。
声が震えていることに気付いたのか、少し眉を潜めた紫杜くんは顎に手を当てて考えるような仕草を取る。
「んー…夜中の3時、くらいかなぁ?」
その言葉に、目の前が真っ暗になる。
自分の足に、力が入らない。
がたん、と音がして、全身に来た痛みに、あぁ、崩れ落ちたのか、とどこか冷静な自分がいた気がするけど。
「…3時」
その時間のことは、知らない。
記憶に、ない。
ガタガタと身体が震えるのを、両手で頭を抱え込む。
知らない
知らない
嘘だ
そんな
大きな音と私の様子におかしいと感じて駆けつけた紫杜くんが慌てたように声をかけて起き上がらせてくれるけど。
そんな声も、耳には入ってこなくて。
嫌だ
嫌だ
嘘だ
まだ
頭が痛い。
痣が、痛い。
熱い。
熱い。
イタイ
アツイ
イヤダ
ヤメテ
….ハナレタクナイ
____あと、少しだね
そんな声が聞こえたのを最後に意識が完全に真っ暗になった。
絶望的な一言
(知りたくなかった)
(あの姿に意識が持っていかれている)
(その、事実に)
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風雅(プロフ) - ゆあさん» 初めまして。コメントありがとうございます。少しずつですが、更新できるように頑張らせて頂きます。今後ともよろしくお願い致します! (2019年10月12日 9時) (レス) id: 4353acba07 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!!頑張ってください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: ae1b37537f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風雅 | 作成日時:2019年10月2日 16時