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他人事な感情 ページ25

白神side


メンバーとのコラボ動画も着々と編集も終わりつつある。

全編集が終わったら、“のあコラボ週間”と題した動画投稿期間を1週間設けることになった。
最終日は、全員とだ。

個人枠はあとなーくんと、さとみくん。

急にコラボしたい、と言ったことに不審に思ったメンバーもいたみたいで。

なんとか、誤魔化せてるといいけど…。


右肩の痣は、見ればわかるくらい白色。
左鎖骨上の痣は、前よりも少し白が濃くなっている。よく見ないとわからない程度だけど。

疲れやすくなって、疲れが取れにくくなってきていて。

残された時間は少ない、と嫌でも実感してしまう。

焦りが募る。早くしないと。


「………最近、無理しすぎ」


そんな焦りは当然のことながら、桃里くんにお見通しで。


「え?」

「コラボ動画も急すぎるし。なんかあったんじゃねぇの?俺にも、言えない?」


悲しそうな、怒っているような、そんな目の桃里くんに。
思わず目をそらしてしまった。


「っ、はぁ…」


何も言わない私に、大きく溜息をつく。


あぁ、嫌われちゃうかな


嫌われたくないのに。諦めている自分がいる。

でも、こんな面倒ごとを抱えている恋人なんて、きっと御免だ。
今まで切り捨てられなかったのが、奇跡で。

私だったら、耐えられなくて、別れてる。


「泣くなよ」


そ、と腫れ物を扱うかのように、その手が私の頰を撫でた。
その時初めて、自分が泣いていたのだと、気付いて。


「………なんで、」


言っちゃ、ダメだ。


「なんで、そんなに優しくしてくれるの…こんな面倒な奴、いない方が楽じゃない!」


言った後に、ハッ、となって、後悔した。

顔を上げて見た桃里くんの顔は悲しそうな表情をしていて。

あぁ、また傷つけた。

そんな顔をさせたくないのに。本当にこんな自分が、嫌いだ。


「っ、ごめんなさい…」


これ以上、一緒にいるとまた傷付けてしまう。
立ち上がってその場を去ろうとしたその瞬間。

腕を取られて、暖かい、安心する香りに包まれる。
力強い、でも少し震えているその腕に、抱きしめられていた。


「迷惑じゃない…お前がいなくなる方が、迷惑だから…好きだから。大好きだから。どこにも、行くな」


声が震えてて、でも桃里くんらしく紡がれた言葉に。


「…好き、だよ」

抱きしめられたその背中に、ぎゅ、と腕を回した。


他人事な感情

(消えないで、頼むから…)

(そんな彼の言葉に)

(____、)

(聞こえなかった、ふりをした)

絶望的な一言→←橙と白のエンターテインメント



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風雅(プロフ) - ゆあさん» 初めまして。コメントありがとうございます。少しずつですが、更新できるように頑張らせて頂きます。今後ともよろしくお願い致します! (2019年10月12日 9時) (レス) id: 4353acba07 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!!頑張ってください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: ae1b37537f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風雅 | 作成日時:2019年10月2日 16時

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