豹変 ページ16
ジェルside
ベッドの上のAからすぅ、と寝息が聞こえて来たのを確認して、一度頭を撫でて部屋を出る。
音を立てないようにゆっくりドアを閉めて前を向けば、バツが悪そうに目をそらす桃里と腕を組みながら壁に寄りかかる紫杜くんが立っとって。
「へ？」
と思わず気の抜けたような声を出してしまった。
「どしたん？2人とも…寝とったんやないん？」
「橙瑠くんの声が聞こえて目が覚めたんよ。ちょうど桃里くんも目覚めて、慌てたように周囲を見渡してたから」
____今なら聞けるかと思って。
連れ出したんだよね、と優しいいつもの声で、だけど強く言う紫杜くんの目は真っ直ぐ桃里を見とって。
俺も紫杜くんから桃里に視線をずらせば、何回か視線を彷徨わせた後、はぁ、と小さく溜息をついた。
「…Aは？」
「え？あぁ、苦しそうに小さく蹲ってて、声かけて…起き上がろうとしとったけど力入らんかったみたいで、崩れ落ちかけたから支えて、今ベッドまで運んで寝たとこやで」
「やっぱ無理してたんだね」
「さっきAが2人には言わんで、って言うとったけど、やっぱり体調悪いの知っとったんや」
「悪い…ありがとな」
「いや、別に良いんやけどさ。言うてくれれば良かったんに。なんか、肩も痛かったみたいやで？」
そういえば、と先程右肩を押さえていたAの姿を思い出して、何気なく言う。
その瞬間、桃里の雰囲気が、一気に変わった。
「っ！肩って右肩！？どれくらいの時間だった！？」
がっ、と俺の肩を掴む桃里の力が強くて、思わず顔を歪める。それを見た紫杜くんが、桃里を優しくなだめた。
「桃里くん、落ち着いて。みんな起きちゃう」
「っ、…すみません。橙瑠、悪い…」
「ヘーキやで。とりあえずここやとあれやし、どっか部屋入らん？」
「そうだな。編集部屋でもいい？」
桃里の言う編集部屋は、さっきAが倒れてた防音室。よっぽど、聞かれたくないんやな。
俺と紫杜くんが頷いたのを見て、編集部屋へと向かう桃里に。
一度紫杜くんと目を合わせて、その後ろをついて行った。
豹変
(最年長の広く感じる背中は)
(いつもの強さからは思えない程)
(小さく、弱く感じた)
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風雅(プロフ) - ゆあさん» 初めまして。コメントありがとうございます。少しずつですが、更新できるように頑張らせて頂きます。今後ともよろしくお願い致します！ (2019年10月12日 9時) (
レス) id: 4353acba07 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！！頑張ってください！ (2019年10月11日 22時) (レス) id: ae1b37537f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風雅 | 作成日時：2019年10月2日 16時
