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「じゃっ、行くわ
Aも元気でね」
配達用のバイクに跨がって
ヘルメットの紐を付けるために
少し首をかしげた慎太郎は
そう言ってはにかんだ
「気を付けろよ」
『ありがとうっ、またね慎ちゃん』
明るいオレンジが広がる空
奥の角を曲がる途中に手を挙げた慎太郎を
ふたりで手を振りながら見送って、
ふっと息をついて
ふたりで家の中に戻る
『ねぇ、ほっくん』
「んー？」
『ここ、すいか畑になっちゃうかもね』
後ろからの声に振り返る
初めてのすいか種飛ばしにはしゃいでいたAは、庭に散りばめられた黒い粒に苦笑いを浮かべていて
「すいか食べ放題できるじゃん」
『うーん、食べきれるかなぁ』
「もう俺はいらないけどね」
『え、どうしてっ？』
「今日どんだけ食べたと思ってんだよ」
『……まだ冷蔵庫にあるよ？』
「まじか、すいか地獄じゃん」
実家の八百屋を継いだ慎太郎が
お土産に持ってきてくれたすいかは
特大サイズで、
3人で食べるにはやっぱり大きすぎた
『楽しかったね』
「これからもいっぱいあるよ？楽しいこと」
『そっか……
ふふ、楽しみだな』
もう夏が嫌いだと言う君はいない
遠くを見つめる横顔が
淡いオレンジに照らされる
君の唇が微かに歪んだことに
今はそっと気付かないように
「よしっ、夕飯の仕度しようかな」
「Aは何食べたい？」
そんな俺の問い掛けに、
腕を組んでじっくりと考えて
『……え、と』
『……あ、ロールキャベツ食べたいな』
『ほら慎ちゃんがキャベツもくれたでしょ？』って
その言葉に頷いた俺に、満足気に笑う
『私も手伝うよ』
「ほんと？じゃあ、＿＿ 」
ふたりで立つキッチンに
少し生ぬるい風が吹いて
小さな風鈴の音と
瓶にささる雛罌粟の花が
ゆらゆらと嬉しそうに揺れていた
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青 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語一気に読んじゃいました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2020年3月4日 16時) (
レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
青 - はじめまして(*^^*) いきなりすみません...。 一つお聞きしたいことがあるのですが...。 この物語の題名の読み方ってなんなんでしょうか？ (2020年3月4日 16時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿 | 作成日時：2019年9月17日 7時
