1 ページ1
.
ある日の昼下がり
あははって楽しそうな君の声が響いて
あぁ、また夏が来たんだなぁって思いながら
さよなら、で終わるページを捲る
『ねぇ、ほっくんもおいでよっ』
畳の部屋で本を読んでいる俺に
縁側の窓から顔を覗かせて無邪気に笑う君
きらきらと光るビー玉みたいな目が
俺を捕らえてる
「いや、俺はいいよ」
『んん……ほんとに本が好きだね』
そう言う君は不満そうな顔をして、
慎ちゃーんってすぐに戻ってしまった
扇風機の首がちょうどこっちを向いたとき
つい手を離してしまった隙に
進めていたはずのページを
ぺらぺらと戻されるのが鬱陶しくて
溜め息をついた
ねぇ、Aはさ
俺が本は好きだけど、
それだけじゃないってこと知らないでしょ？
『ほっくんは読書がいいんだって』
風に乗って聞こえた声
たぶん、眉間にしわを寄せて
慎太郎にそう話してるんだろうなぁ
ってその表情を思い浮かべてくすっと笑う
いいの、俺は
Aの楽しそうな声を聞きながらさ
本を読むのが好きなんだよ
ちりんちりんと揺れる風鈴の音も
心地良いそんな日
でもさ、まだ少し不安なんだよ
もう大丈夫なの？って心配させないように
きっと君は今もそうやって笑うんでしょ？
そんな俺たちを見下ろして
またじりじりと焦がす
痛くて、暑い夏がもうそこまで
迫ってきてる
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 168人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
青 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語一気に読んじゃいました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2020年3月4日 16時) (
レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
青 - はじめまして(*^^*) いきなりすみません...。 一つお聞きしたいことがあるのですが...。 この物語の題名の読み方ってなんなんでしょうか？ (2020年3月4日 16時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：椿 | 作成日時：2019年9月17日 7時
