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.




 
「A」


 
さっきよりも大きく耳に届く愛しい人の声は


止まっていた涙をまた誘う



 

「……もうなんで泣いてんの」


 

そう言って私の涙を拭う手には、キラキラと指輪が光る




『……ごめんなさい』


 

そう小さく呟くと少し肩を落とした樹くんに


「行くぞ」


って手を引かれる



 

 
どこに?


何て聞かなくても


だんだんと移り変わる景色で


分かってしまった


 
 
 


樹くんは今日のことについて何も聞かなかった


もしかして、私のために聞かないでくれているの?


それなら、ちゃんと話さなきゃ


 
 
 

『……ちゃんと終わらしてきたの』


静かな車の中で口を開くと、


「うん、知ってる」


って、予想外の言葉にびっくりした
 



「……ちゃんと分かってるから」

「もう一人で抱えないで?」


 
頑張ったなって優しく髪を撫でてくれた

 
全部、分かってたんだ……

 
私のことは何でもお見通しなんだね

 
 

 

ごめんね、たくさん迷惑をかけて

 
でも、もう大丈夫。

 
樹くんとなら

もう怖くないから



今流れる涙は、嬉し涙だよ?



あなたともう一度出会えて、


もう一度恋ができて


本当に良かった



 
 
 
.





 
「北斗、Aに会いたいって」


『……へっ』


「そんな顔で会うの?」


 

ちらっとこちらを見て、そんな失礼なことを言う


 


『樹くんひどい』


「そんな鼻声で言われても」



『……もう、帰る』


「じゃあ……送る?」



『……っいやだ』


「なんだよそれ」





ふはって笑う樹くんに胸がとくっと跳ねた




なんだろう、この感じ


とても懐かしくて


あぁそうだ……これがいつもの私たちなんだ。



 


『……樹くん』


「ん?」


『ありがとう』






もう、泣いてなんかいられないよね

 
私はこれから、


樹くんと一緒に未来を歩んでいくんだから




バレないようにそっと隣を見つめれば、少し耳を赤くした樹くんが映った
 

○→←●



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椿(プロフ) - ヒヨリさん» ヒヨリさんっ最後までお付き合い頂き本当にありがとうございます!!そう言って頂けて光栄です(TT)次のお話でもお会いできること願っておりますっ…… (2019年9月15日 21時) (レス) id: ae11041bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ - 椿さん» めっちゃ面白かったです!!短編集も見させていただけます。 (2019年9月15日 19時) (レス) id: 61e4e164fd (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ヒヨリさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて本当に幸せです(;-;)ゆっくり更新で申し訳ありません。これからも楽しんでもらえるよう頑張ります!! (2019年8月29日 15時) (レス) id: ae11041bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください。応援してます。 (2019年8月29日 13時) (レス) id: 61e4e164fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:椿 | 作成日時:2019年8月21日 4時

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