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『……っ？』




少し経って


もうそろそろ帰ろうかと考えていた時


私のいる場所と反対側の扉が開く音がして誰かが入ってきた気配がした。






何か話してる？


微かに聞こえてくる話し声に耳を傾ける






「……もう、終わりにしようと思ってる」





人の話を盗み聞きするのは良くないのに

終わりにするって何だろう？

って彼の苦しそうな声が気になってつい目を離せなくなった








「あぁ……もうだめかも俺」








電話が終わったであろう彼は携帯を力なく下ろして展望台からの景色を見つめてる。







これって……？






頭で考えるよりも先に



私の身体は動いていた。
　









『……だめっですよ』






咄嗟に掴んでしまったどこの誰かも知らない人の腕。





何してるの？わたし……



いや、だって彼がいなくなっちゃいそうだったから……





焦ってなのか心か頭か分からない私が会話してる。








「……え、？」





少し波打った彼の瞳が私を捕らえる。




丸く大きくなった瞳。




真っ黒で透き通っていて、綺麗だな、なんてそんな呑気なことを考えてた。
　

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