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ain ページ12

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1月の雨はとても冷たい





傘忘れちゃった


どうしよう



『……、』




仕方なく走り出して



赤信号に止められたとき



傍に止まった車から出てきたのは





「Aちゃん……？！」




『っ田中さん』






会いたくて、会いたくて、



でも会いたくなかった人






.






「良かったらこれ使って」



『……ありがとうございます』




差し出された白いタオルを受け取る




驚いて動けなかった私の手を引いて


田中さんは車に乗せてくれた






「見たことあるなって思ってたらさ
　Aちゃんですげーびっくりした」







困ったように笑って、寒くない？って

暖房の風を調節してくれた








久しぶりに会った田中さんは


スーツ姿で髪も上げて


前とは違ってきりっとしてた



でもその髪の先からこぼれる雫




『ごめんなさい……

　私のせいで田中さんも濡れちゃって』



「いや俺がしたことなんだから
　気にしないでいいって」




『……っ』





ほら、風邪引いちゃうからって



持っていたタオルを奪って



濡れて崩れてる私の髪を包むと


優しくわしゃわしゃされる







まだ会ってばかり、


彼のことはまだ何も知らない


きっとこんなことされたら


怖くて逃げ出したくなるはずなのに


でもどこか安心できるのは


何故なんだろう









何か、犬になった気分で



おかしくて小さく笑ってたら







揺れるタオルの隙間から



田中さんの喉仏が見えて



その距離に



思わず息をのんだ



顔に熱を帯びて


胸は痛い。









『……田中さん、？』







でも急に手を止めて、静かになるから


そう名前を呼んだら


ごめんって小さな声が聞こえた
　

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