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藍沢side
「血ガス、チェックします」
藤川が血液中の酸素や、二酸化炭素の数値を測るために動いたが正常な数値とは程遠い
「なんで上がってこないの…」
なかなか改善の兆しが見られない、暁人くんの様態にAでさえも焦燥感をまとった声を上げる
「藍沢、エコーやってくれ」
「はい。藤川頼む」
「わかった」
「ヘッドアップ
…失礼します」
橘先生の声に藤川と入れ替わり、Aと並んでエコーによりモニターに映し出された心臓を確認する
「─────っ、これ…」
「心囊に大量に溜まってます」
声を詰まらせたAに代わり、俺が言葉を紡いだ
暁人くんの心膜と心筋の間には、大量の血液が溜まっていた
「橘先生…」
「あぁ、穿刺して抜くぞ
留置用カテーテル」
Aの声こそ震えていたが、その眼差しは諦めることを感じさせない
それでも、その眼差しを嘲笑うかのように、暁人くんの身体に次々と病魔が襲ってくる
「─────心破裂か」
橘先生の沈痛な言葉に、彼女は一度伏せた目をゆっくりと開いた
「橘先生、損傷部
縫合させてください」
「神楽…」
Aの言葉に橘先生だけでなく、その場にいた全員が彼女に視線をやった
この状況で、縫合を行ったとしても救命率は極わずかだ
心臓外科専門であった彼女も、もちろんそれをわかっていることは誰しもが理解していた
「可能性がたとえ0.1%だったとしても、やれる処置がある限りは最後までやりたいんです」
それでも、その力強い瞳に、言葉に、頷いた橘先生を見て、俺は冴島に指示を飛ばす
「6-0プロリン準備
神楽、俺がサポートに入る」
「お願い」
──────暁人くん、もう少し頑張って
───────私が、助けるから、頑張って生きて
涙声でそう願うAの手元を見つめながら、俺も必死に手を動かし願う
──────生きてくれ、
───────俺とAが一人ぼっちで生きた、これからにも、君には家族や友達がいる綺麗な未来が待っているんだ
───────
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はー - 緋山先生の名前、変換間違っていませんか? (3月29日 22時) (レス) @page1 id: 2d5b6ee402 (このIDを非表示/違反報告)
優空(プロフ) - ありささん» ありささん、4話まであるのに一気に!ありがとうございます!フェローちゃん達との絡みがなかなか作れてないので頑張ります(;_;)これからも楽しんでいただけるよう頑張ります! (2020年5月27日 17時) (レス) id: d619cfacda (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - 昨日と今日で一気に読みました!コードブルーを見たのはかなり前だったので懐かしい気持ちがありつつも楽しく読ませてもらってます!これからも更新頑張ってください!あわよくば 灰谷先生、横峯先生、名取先生と夢主の絡みが見たいですw (2020年5月26日 11時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
優空(プロフ) - あきなさん» あきなさん、とても励みになります!本当にありがとうございます。更新頑張っていきますので、これからもこの作品を愛していただけると嬉しいです! (2020年5月24日 16時) (レス) id: 271d3791ff (このIDを非表示/違反報告)
あきな(プロフ) - 優空さんの小説とても楽しみにしています!次の更新も楽しみにゆっくり待ってます! (2020年5月22日 20時) (レス) id: f9391f003b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優空 | 作成日時:2020年5月17日 23時