男装少女は秘密主義 (ページ42)

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温もりページ42

貴方「二人はよく似てるよ」

蛍「そうよね。
だから、私もあんな風に....」

貴方「冷たそうに見えて実はすごく思いやりがあるとこ
皆のことを考えて裏で支えてくれるとこ
他の人たちに誤解されちゃってもちっとも辛くないみたいに強がるとこ

ふとしたときの笑顔がすごくやさしいところ
きりがないね？」微笑

蛍「A....」

貴方「なんであんなことを言ったのか僕にはわからない。
だけど、昴君は、ずっと家族と会いたがってたんだよ。

あ、これは、秘密だけどね
学生証の裏には蛍が赤ちゃんの時の写真が入ってるんだよ」微笑

蛍「うそだわ...」微笑

貴方「やっと笑った。
ほんとだよ。昴君は、シスコンだから」

今は、ぎこちない兄弟だけど、
いつか心のそこから笑い会える日々が訪れますように

そう僕は、願うばかりだった。

蛍side

蛍「お母さん
私、もう楽しい思い出がいっぱいできたから
もういいよ。今までありがとう」

大好きなお母さんやお父さん
村の皆,そして蜜柑と別れ、
学園にやって来た。

学園の皆ともすぐ仲良くはなれたが、私の心はぽっかりと空いたままだった。

ある日の朝、クラスメイトの一人が
通学の列を抜け、森に入っていくのを見た。

蛍(早くいかないと遅れるのに...)

いつもなら気にもとめないのに何となくついていくことにした。

森をしばらく進むとそこだけ木が生えていないところがあって、
小さな野原のようになっていた。

そこに寝ころぶ一人の少年
クラスメイトの小日向Aだった。

無駄に整った顔とそのカリスマ性
だけど、謎が多くてどこか儚く惹かれる存在だった。

貴方「君は...転校生の今井蛍ちゃんか
おいで、一緒にさぼろうよ」微笑

妖美な笑みをうかべ、手招きするその姿に
思わずドキッとしてしまう。

そして、彼は、どこからともなくお菓子をとりだし
「サボりの口止め料ね」と言って私に渡した。

普段、お喋りな方ではないけど、その時はなぜか色んな事を喋っていた。
学園の外に大事な友達がいること。
学園に来た経緯

貴方「蛍ちゃん..」

つーっと涙が私の頬を伝う。
Aは、ハンカチをとりだし優しく拭ってくれた。

貴方「僕、蛍ちゃんの１番の友達には勝てないかもだけど
２番目の友達になれるように頑張るよ
辛かったね、蛍ちゃん大丈夫だよ」

Aは、私をぎゅっと抱きしめた。
その温もりに私がどれほど救われたかは、言うまででもないだろう。