男装少女は秘密主義 (ページ2)

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理想ページ2

2歳の時僕の両親は僕を手放した。

「すまない。こうするしかないんだ
いつか迎えに来るからその時まで待っていてくれ」

今でも耳に残っている父親らしき人物の声
黙って抱き締める母親らしき人物の温もり

貴方「迎えになんて来ないじゃないか..」

今となっては、そんなことも遠い昔のことだ。
いちいち過去を振り返っていても仕方がない。
僕には、今の生活があるのだから。

養子としてこの家にやって来たときは皆優しかった。
しかし、女の子では跡取りとして不向きらしい。

義母「今日から男の子として生きなさい」

育ての母親から言い放たれた衝撃的な一言。
私はそれを黙って聞くしかなかった。

長かった髪をバッサリと切り男の子っぽく振る舞って見せた。
本当の自分を殺して偽りの自分をつくる。
そうすることで自分の存在する意味を作ってきたのだ。

義母「さすがうちのA」

義父「将来期待しているからな」

自分が愛されるためには仕方がない事なのだと思っていた。
だけど、心のどこかで本当の自分を愛してほしいだなんて思っていた。
本当の自分では、愛されないのは分かっている。

だから、今日も僕は理想を演じる。
お父さんとお母さんが望む理想の息子を.....

そんな僕には、秘密があった。
僕が、アリスという特殊な存在で、あるということ。

アリスとは、不思議な力とその力の持ち主の総称であり国の宝だ。
人から天才と言われるような人のほとんどがアリスであった。
しかし、この事については一般のひとには知らされていない。
努力をしても、アリスに勝てないなんて知ったら努力しなくなるからであろう。

だから、僕自身もあることが起こるまで自分がアリスだなんて知らなかった。
その事件は起こるまでは..

学校にいく途中だった。

１「A君おはようー！」

２「今日は、なにして遊ぶ？」

貴方「公園に行こうよ」

同級生との他愛のない会話
いつもと同じ平凡な日

ちょうどその時男とすれ違う。
後から聞いた話だが、その男はフェロモンのアリスの持ち主だったらしい。

そのときの僕は、アリスの制御なんて当然知らないからコピーした力を押さえられなかった。
体が熱くなり、立っていられなくなった。

すると、周りの友達もおかしくなりはじめた。

女の子「Aくんって本当にきれいだよね...
すき...っはぁねぇ..こっち見てよぉ」

貴方「うわぁ！離して！」

皆じゃない皆を見て怖くなった僕は逃げた。