１０８話 ページ12
〈おいおい松野、天秤に喧嘩売ったってマジ？〉
「あ゛？お前、アイツのこと知ってんだ？」
俺らをボコした奴のことを知っていたクラスの奴から聞いたことに関して俺は呆れた。
【天秤】。正しい奴には手を伸ばし、悪い奴には自ら手を下す正当な人間。売られた喧嘩は悪とみなし、全て勝つ。
〈でもよ、最近は更に拍車がかかってるらしいぜ。何でも、天秤を助けた人が悪だったとか言ってるんだと。ま、天秤に擦り寄ってるんだろうけどな〉
その話を聞いた俺は思わず笑ってしまった。そうだったのかと。そしてその話を兄弟にもしたあと、また俺らは喧嘩しに行った。
〈また来たのかよ〉
〈なぁなぁ、俺らの妹がお前に尻尾振ってるってマジ？〉
〈……はぁ？〉
〈こっちが聞いてんの。まぁ弱い奴は強い奴に媚び売るのは普通だし何も思わないけど〉
〈フッ、見事に策略にハマった哀れな裏の主。面白いな〉
〈……〉
何も言わなかった天秤こと夏希。俺らは図星なのだと確信した。黙秘こそ肯定だと思ったから。
しかし返ってきた返答は
〈ぐふっ…げほっ〉
〈ははっ…お前らはつくづくバカだ。自分から死にに来るか〉
トド松に当たった、頭への回し蹴り。挑発して乱れたところをボコす俺らの作戦は最悪の結末だった。
トド松は顔を引っかかれた。浅いキズでもすぐに乱れ、その瞬間にみぞおちを蹴られ壁に激突。
十四松はバットを折られた。バットを投げつけて視界を奪おうとしたが、逆に投げ返され、自分が怯んでしまった。速攻返り討ち。
一松は素早い動きで不意打ちを狙い一発殴ろうとしたが、腕を捕まれ地面に叩き落とされた。肩からミシミシと嫌な音が響く。
チョロ松は攻撃を数回避けることが出来たものの、殴り返そうとした瞬間ねこだましを食らい、怯んだところを背負い投げされた。
カラ松の殴りは一発入った。呻き声がアイツの口から漏れた。それもつかの間、伸ばされた腕にしがみつき、背中にかかと落としをした。
俺の弟は弱くは無い。なのに次々と倒される。そしてアイツは…天秤である夏希は
〈あとはお前だけだ、赤鬼、松野おそ松〉
笑っていた。青筋を浮かべながら、返り血のついた顔には満面の笑みで。
この感情を俺は知っている。自分が勝つことも歯向かうことも出来ない
底知れぬ恐怖。
〈俺に幾ら喧嘩売っても良いが…。次Aに何かやったら、今度こそ容赦しねぇ〉
あぁ、これでも本気じゃないと言うのか。
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yamaneko(プロフ) - この作品大好きです！更新待ってます！ (2022年5月29日 17時) (
レス) @page23 id: 07c8e63397 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 個人頑張ってください!一気に読んでもう…泣けてくるわ (2020年6月26日 0時) (レス) id: 754c695e6f (このIDを非表示/違反報告)
るるるs - 98話 天ノ弱を歌っているのはGUMIですよ。(少しばかりの訂正文失礼しました) (2020年6月1日 0時) (レス) id: 237a7189ae (このIDを非表示/違反報告)
Rain☆ - あと、この小説に出てくる歌い手さん全員大好きです！！ (2020年5月11日 23時) (レス) id: 3af4d419c0 (このIDを非表示/違反報告)
Rain☆ - 1日で一曲目二曲目三曲目読んじゃいました！！！好きです！こういう深いの大好きなんです。更新頑張ってください！！ (2020年5月11日 23時) (レス) id: 3af4d419c0 (このIDを非表示/違反報告)
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