１３話 ページ15
一ノ瀬(そらる)side
重い瞼を開けて最初に見たのは、まふの顔のドアップだった。
ま「そらるさん、大丈夫ですか！？」
そ「外でその名前禁止だよな？」
ま「すみません...」
俺は熱中症？で倒れたらしい。水分、とってなかったな。気をつけないとな。体を起こそうとすると、まふに押さえつけられた。
ま「駄目ですよ起きたら！」
『目、覚めましたか！？』
聞いたことの無い女性の声。首だけ動かすと長袖の服を着た人が息を切らしてまふに話しかけていた。
『ポ○リ買って来ました！飲めますか？それともアク○リアス派ですか？』
そ「ポ○リで大丈夫。ありがとう」
500mlのペットボトルを受け取り、勢い良く喉に流し込む。冷たさが体に染み渡るようだ。
その間にも女性とまふは仲良さげに話している。友達にこんな子いたか？
そ「真冬、その子誰？」
ま「前に話したじゃないですか、この人が僕に勇気をくれた人です！」
『うぇ！？どんな紹介してるんですか！』
この人か。俺らのファンって訳でも無さそうだし、あの言葉を言った人にも見えない。不思議に思うのは１つ。
この暑い中、長袖だということ。俺が倒れるぐらい暑いのに長袖っていうのはおかしい。
そ「ご迷惑かけてすみません。一ノ瀬彼方です。ありがとうございました」
『松野Aです。迷惑だなんて思ってません。私が勝手にしたことですし』
そう言ってお辞儀をした松野さん。その時に見えた。いや、見えてしまった。
腕に巻かれている包帯が。
俺は言葉が出なかった。気がつくと、松野さんはいなくなっていて、まふがこっちを見てくる。
ま「そらるさん、まだ気分悪いんですか？」
そ「まふ。何であの人がお前にあんなこと言えたのか分かった」
ま「？ それは優しいからじゃ...」
違う。優しいだけで言えるもんか。仮に本に書いていたのを覚えてたとしても、説得力のある言葉なんてスラスラ出てくるもんじゃない。
それに、まふは嘘とかすぐに見抜けるタイプだ。だから薄っぺらな同情や言葉では、ほぼ100%動かされない。
そ「松野さん、誰かに暴力受けてる。さっき腕に包帯が見えた。こんな夏の日に長袖を着ているのも繋がる」
ま「えっ...」
目を見開いて固まるまふ。頭が追い付いていないな。俺だって理解しない方が良かったと思う。
ひとまず家に帰ることにした。松野さん笑ってたけど、笑わないと自分を守れないのかもな。
と、柄にもないことを考えてながら。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 960人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき(プロフ) - 続きがとても気になるので,友達申請させていただきました！だ (2019年5月7日 19時) (
レス) id: 741d7c394d (このIDを非表示/違反報告)
ムギ(プロフ) - 続きが気になるので、友達申請させて頂きました！ (2019年5月1日 4時) (レス) id: 40229cd54e (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - この小説面白〜いです！友達申請させてもらってもいいですか(^^) (2019年4月8日 12時) (レス) id: 7e2f4c64ce (このIDを非表示/違反報告)
七香(プロフ) - 続きが気になるので友達申請させていただきます！ (2019年4月1日 13時) (レス) id: 35bfb76efc (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - すごく続きが気になります！なので友達申請させて頂きました！ (2019年3月19日 23時) (レス) id: b0e1119457 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：三鈴 | 作成日時：2017年8月25日 18時
