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Aの墓は、森の奥深くにあった。
深い霧が立ち込め、滅多に人が入ってこないような場所。だが、それがかえって神秘的な雰囲気を釀し出していた。
墓石の前には簡単に作られた石畳の道があり、両脇には色々な花が咲いていた。それらを取り囲むように銀木犀の木が植えられていて、その奥には小さな蓮池がある。
まるで小さな極楽浄土の様だった。
童磨は石畳を渡る前に立ち止まる。此処からは、友人同士の時間だと。
猗窩座はゆっくりと墓石に近付いた。
A、と名前の彫られた墓の前に膝をつき、柄にもなく摘んできた花をそっと置く。
猗「お前はっ、自分を何だと思っていたんだ……!!」
共に過ごしていた時。一度だけ藤の毒をまともにくらって、Aが血を吐いたのを見たとき、胸がざわついた。
あぁ、もう毒で苦しませるのは嫌だ。また守れないのは嫌だと思った。咳込むAが、名前も思い出せない誰かと重なった。
思い出したくても思い出せない。
思い出す必要がないと考えれば、今度は忘れたくないと喚く自分がいる。
お互いに踏み込んだ部分までは知らずとも、お互いの境遇は何となく察していた。
身内から煙たがられ、辛い思いをしたであろうこと。大切な人たちを喪って、さぞ悲しかったであろうこと。
言いはしないが、解り合っていた。
だから、Aは解っていると思っていた。遺される者の気持ちを。
それなのに、逝ってしまった。また自分は遺された。
次に合ったら殴ってやりたい。お前は馬鹿だと、不平不満を並べ立ててやろう。
だから。
猗「お前のことはちゃんと覚えててやる。彼奴がお前を忘れても。
今度こそ、必ず…」
▼△▼△▼△
補足しておくと、猗窩座の本命は恋雪さん一人だけです。恋雪さんをぼんやりとしか覚えていられないので、Aちゃんを恋雪さんと重ね、二度目のチャンスだと、死んだ大切な人を覚えておくことを誓ってます。
猗窩座がAちゃんに向ける想いは、恋雪さんに向ける気持ちから恋心を抜いたものとでも思っていてください。
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煨(ウズミビ)(プロフ) - つるかめさん» 実は仲間です……((( 頑張って下さい!! (2020年11月1日 0時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
つるかめ(プロフ) - �(ウズミビ)さん» わかりますさては仲間ですね…(????)((( できるだけ本家の設定を崩さず書くようにしますね…! (2020年10月31日 20時) (レス) id: 21a20e72bc (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - つるかめさん» 本家の設定に沿って違和感のないように描写するの私も苦手で、、ほんとよく分かります、、 (2020年10月31日 0時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
つるかめ(プロフ) - �(ウズミビ)さん» そう言っていただけて本当にうれしいです…!ですよね…最悪血鬼術とか身体能力を言い訳に無理矢理繋げることになっちゃいそうですが…;;; 私が書ける限りの最高のものにすできるよう頑張ります! (2020年10月30日 18時) (レス) id: 21a20e72bc (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - つるかめさん» 本当に面白くて……つい一気読みしてしまいました、!戦闘場面の描写は難しいですし、時間もかかりますもんね……楽しみにしてます!! (2020年10月30日 17時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つるかめ x他2人 | 作成日時:2020年8月12日 1時