【鬼滅の刃】扇は月下で煌めきて【童磨】

日の光　四十五 ページ9

童「やっぱり君だったんだね。Aちゃんに、懐かしい匂いが幾つか染み込んでいたからまさかとは思ったけど…」
胡「知り合いですか？」

ただならぬ雰囲気を感じとったのだろう。怪訝そうな顔でしのぶが問い掛ける。
童磨を先頭にして後ろに控えていた六人も、顔を曇らせてじっとみている。


只「童磨さんとAが出逢うきっかけを作った鬼だった、ってとこかな？」

＿＿只野治人。
彼は前世、飢餓状態に陥っていた際、童磨に暇潰しの相手をさせられ刻まれたことがあった。
そう、只野はあのとき、月夜の晩に相手を別の時代にとばす血鬼術を童磨にかけた張本人だった。


童「だから、俺が危険な奴だって思ったんだね？仲良しのAちゃんに危害が及ばないよう、人の扱いが上手いしのぶちゃんにSNSに流した偽の情報をチラつかせて、従わないと更に酷いことになると脅して利用し、俺たちを別れさせようとした。
でも失敗したから、Aちゃんを拐って、俺がどんなに危険なのかを教え込もうとしたんだろう？」
只「さっすが上弦様、やっぱ鋭いっすね」


にやりと舐めたような笑みを浮かべると、更に奥にあった扉を指差し、只野は続ける。

只「この先の幾つか部屋をこえたところにAは居るんすけど…生憎、そこにたどり着くまでの鍵は、君たちが家に入ってきたことに気がついたときにこの山の中に投げちゃってね。
その鍵を探さなくてもたどり着けるには着けるけど、相当な時間がかかる。そんな長い間もたもたしてたら、A、死んじゃうかもね。今日は一段と酷くしたから」


わかったらさっさと帰って…と言いかけた時だった。

特徴的な呼吸音が聞こえた直後、宇髄と善逸が只野との距離を一気に詰めていた。

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