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昔々 七 ページ29

どっちに行けばいいのかわからない。
あまり屋敷から出ず、外出するときは乗り物を使っていたのが仇となった。
おかげで自分は土地勘もなく、体力だってろくにない。それ故に、大の大人から長時間逃げ続けるのは不可能だった。

そもそもなぜ自分は追われているのだろうか。彼にはそれすらも理解できなかった。


ただ、昨日彼女がくれたお守りのお礼がしたくて、教祖としての務めを終えたあと、こっそりと屋敷を抜け出して野花を摘んでいたのだ。
彼が知っている限り女は花が好きだったから、きっと彼女も喜ぶだろう。そう名前も知らない少女の笑顔を思い浮かべながら、綺麗な花を選んで摘んでいた。
ただそれだけだったのだ。


その途中、腰に刀を差した大人の男が一人現れた。彼を見て驚いた顔をすると、「どうして子供から鬼の気配が…」と呟く。苦々しげな顔をしながら、刀を抜いて彼に向かって構えた。

「鬼とつるんでいる以上…人間の子供であれ容赦はできない…ッ!」

そう男が言ったとき、反射的に彼は駆け出した。
小さな身体は隠れるには最適だったため、背を低く屈めながら木々に隠れつつ逃げていた。
だが一度見つかると、相手は物凄い速さで追いかけてきた。追い付かれればまず間違いなく殺されるだろうことは、子供の彼にもわかっていた。

だが、普段教祖として部屋に籠り、自分で歩いたことがあるのは屋敷の中と庭程度だった彼は、もう体力が限界だった。

「うわっ…!」

足がもつれて転んだ彼の背後から、鈍い光を孕んだ刃が迫ってくる。

殺される___

彼は襲ってくるであろう痛みに身構えた。




____グシャッ

肉が勢いよく裂け、傷口から大量の血が吹き出す。驚いたように口と目を見開き、男が後ろに吹っ飛んだ。

彼の前に庇うように膝をつき、男を威嚇していたのは、他でもないあの少女だった。

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つるかめ(プロフ) - 絵理奈さん» あっ確かに面白そう…!((何処かで出してみたいです…!!((( (2019年12月1日 22時) (レス) id: 3406c64e72 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 記憶喪失童磨ちゃんに近寄る女性とか居たらそれはそれで、面白くなるかな (2019年12月1日 22時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
つるかめ(プロフ) - レインさん» おのれ只野まじ許さん!ですよね!!((そうです只野が犯人でした!レインさん大正解です!((書いてる私が言うのもあれですけど只野が童磨刺した途端叫びましたよ…w← ありがとうございます!頑張ります!! (2019年11月23日 22時) (レス) id: 3406c64e72 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 只野ォォォォォォォォォォ!! 何しとるんっ!!!!! お前犯人じゃね?っておもっとったけどさぁぁ!!!!!! 童磨刺しやがってっっっっ!! すいませんした、推しが刺されたもんで興奮してしまいましたっ!>< お話とても面白いです!これからも頑張ってください! (2019年11月23日 18時) (レス) id: 41babb6a13 (このIDを非表示/違反報告)
つるかめ(プロフ) - kameramanさん» ありがとうございます!題名こだわってるので嬉しいです…!! (2019年11月19日 18時) (レス) id: 3406c64e72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:つるかめ x他1人 | 作成日時:2019年11月8日 22時

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