都市伝説とワケアリの君に振り回されて【オリジナル】

第006話「神絵師のイラスト」 ページ7

〜逢八side〜



「あの時はすみませんでした！」

「いやいやこちらこそ。それより逢八ちゃんに怪我なくてよかったぜ！」


爽やかな笑顔で手巾(ハンカチ)を差し出すレイ君。


「ちゃんと洗っておいたから安心しな」

「ありがとう」


手巾(ハンカチ)を受け取る私。
このとき私は確信した。


(レイ君ってイケメンだ……！)


桜がレイ君を好きな理由が解った気がする。
レイ君の隣の席に座った桜は、凄く幸せそうな笑顔をしていた。


「瀬川、ファイル見せて貰うわよ」

「おぅいいぜ！」

「どうも」


レイ君から許可を得た大林さんに手招きされ、私達は部屋の隅で早速ファイルを広げた。


「わぁ……」


惹きつけるようなタッチに、思わず見惚れてしまった。
流石神絵師と呼ばれるだけ有る。

暫く頁(ページ)を捲っていると、あるイラストが目に付いた。


(っ……！？)


なぜなら、そこには思いがけないものが描かれていたからだ。
満月が浮かぶ都会の路地裏に、狐の御面をつけたヒトが立っているイラスト。


(こ、コレってこの前の……！？)


どこからどう見ても一昨日の転校初日の夜、散歩の帰り道に出会ったあのヒトだ。
けれど、なんでレイ君があのヒトの事をを知って……？


(直接確かめないと)

「……どうしたのよ？」

「私、ちょっと行ってくるね。……すぐ戻るから！」


心配する大林さんに一言言い残し、レイ君の元へ向かう。
レイ君は紙にペンを滑らせていたが、私が来たことに気づくと手を止めた。


「レイ君ちょっといい？」

「ん、どうしたんだ？」


少し躊躇ったが、思い切って訊く。


「あのファイルの中に狐面のヒトのイラストがあったと思うんだけど……」

「あぁ都市伝説の奴か！」

(都市伝説！？)


あのヒトは都市伝説！？
思ってもいなかった正体に私は驚く。


「あの狐面は何描こうか迷ってた時にネットで見つけたんだぜ」


口裂け女とかきさらぎ駅程度なら聞いた事あるけど、狐面の都市伝説は初耳。


「そ、ソレってどういう都市伝説……？」

「満月の見える夜に『狐面の怪人』に会うと、会ったその人の希いを叶えてくれるっていう都市伝説だ！ま、正直オレは信じてねぇけど」


レイ君は明るく笑い飛ばすが、私は内心混乱(パニック)。


(つまり、私が桜達と友達になれたのは都市伝説の力って事……！？)


その後、私は大林さんと一緒に他の部活を見て周ったが、どれも頭に入ってこなかった。



〜〜〜〜〜〜

(略)

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