都市伝説とワケアリの君に振り回されて【オリジナル】

第001話「転校生の転校初日」 ページ2

〜逢八side〜



ハッ。
なんだ夢か。

寝台(ベッド)の上でホッと息を吐いたのも束の間のこと、次の瞬間には愕然としていた。


(嘘っ！？)


理由は単純、不覚にも寝坊したからだ。
それも転校初日に。

脱兎の如く家を飛び出せば、澄んた青空が広がっている。

私、湯高逢八は訳あって東京に引っ越してきた中学二年生。
五月の今日から東京都立占作せんさく()中学校に通う事になった。

一体どんな学校生活が待っているのか、期待と緊張で眠れなった結果が寝坊(コレ)。


(流石に初日から遅刻(悪目立ち)なんかしたくない)


足を早めて曲がり角に差し掛かった時、突然右腕に衝撃が奔る。


「あっ」

「うぉう」


どうやら誰かに打つかってしまったらしい。
蹌踉て平衡(バランス)を崩し、そのまま後ろに倒れた。


「すみません、大丈夫ですか！？」


相手を見上げたものの、太陽の逆光で顔はよく見えない。


「あぁ全然……ってオレの方こそ悪かったな！？そっちは平気か！？」

(そうだ、急がないと)


直様立ち上がって通学鞄(スクールバッグ)を拾うと、逃げる様にその場から去った。


「ありがとうございました！」



____________



逢八って事があったんだ今朝
シオンへぇー
で、この後色々発展するんだ?
逢八何が


その夜、幼馴染である吉崎(よしざき)汐音(しおん)とSNSを通してトーク中。
今は離れ離れでも、シオンとは物心付いた頃から親友だ。


逢八ありがとうございましたって反射で言っちゃった
会話可笑かったよ絶対
シオン遅刻してないなら、終わりよければ全てよし
逢八まだ終わってない!
逢八実は私…新しい学校で友達が出来なかったの……!


転校生(私)にとって大事な初日(スタートライン)だったのに、無駄にしてしまった。
何もやれなかった。

って言うか、学校での記憶が全くと言っていい程ない。


シオン画面越しに親友がいるじゃん
逢八それはそうだけど……


(それとこれは違うんだよ！)


シオンこう言う時には、外で発狂が一番


(確かに外の空気吸ってリフレッシュした方がいいよね)


発狂はしないけど。
したら不審者だって。

時計の針は十時過ぎを指している。
私は出掛ける準備を整え、部屋を後にした。



〜〜〜〜〜〜

(略)

第002話「不審者達の集う夜」→←第000話「遥か彼方の記憶」

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