b.06 ページ22
とても長い1日が終わり、僕は自宅へ帰ってきた。
「兄さん！お帰りなさい！Aさんとのデートはどうだった？」
『オルト、兄ちゃん大事なお話がある』
今世紀最大級の大型告知だ。
オルトには一番最初に伝えたい。
『この度、拙者晴れて彼女ができました』
そう伝えるとオルトの目が見開かれて輝いた。
「Aさんと付き合ったんだね？おめでとう、兄さん！」
ふひひ、あれためて言われると照れますな〜。
「学生時代から一途に推してた甲斐があったね！」
『ここまでほんっとに長かった…』
初めて話した時から彼女を意識していた。
恋だの愛だの非生産的な感情を自分が抱いているなんて認めたくない時期もあった。
自分以外の人間全てを恨んで、焦って、もう諦めてしまおうかと思うこともあった。
「Aさんになんて言ったの？」
『え、い、いや僕はその、愛を伝えられる側でしたので…』
「え！？じゃあ『ここまで長かった…』とか言ってるけど兄さんなにもして無い…よね？」
仰る通りで。
ずっと受け身ですわ拙者。
「ところで母さん達には言うの？」
『いや、まあそりゃいつかは…？ていうかあの人たちに言うの普通に恥なんですけど…』
「もう！二人ともいつも兄さんのことを心配してるんだよ？」
確かに両親は、ずっと家にいて出会いゼロの僕を心配している。
でも心配してるからって見合いまでセッティングするか？普通。
あれは最早楽しんでると思うんですが…。
母さんのこの娘はどう？と聞く声がまだ脳裏に反響してる。
思い出すだけで悪夢を見そうだ。
「もう、兄さんたら」
とオルトは呟くが、どこか安心したような表情だ。
なにはともあれ今日は疲れた。
流石の拙者でも今日は爆睡コースっすわ。
彼女はどうだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Matyu | 作成日時：2023年9月19日 21時
