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b.01 ページ17

お天道様が真上に差し掛かり少し気温が上がってきた頃、私達はコラボクレープを食べ終え一呼吸ついた。

『イデア先輩、口元にクリーム付いてますよ』

先輩はどこ、と舌でぺろっと口元を舐める。

『とれたとれた。次どうします?』

「そろそろアトラクションが空く頃ですな。何か乗りたいのある?」

『うーん、これとか?』

そう言い私が指を指したのは、パークの目玉の巨大ジェットコースターだ。

「え」

『お、先輩まさか絶叫系苦手でいらっしゃる?』

「い、いやそんなことないですし!苦手なものとか無いですし!」

無理しなくていいんですよ?と聞いても、大丈夫の一点張り。

結局それに乗ることになった。

先輩の読みどおり待ち時間は凄く少なくすみ、あっという間に待機列の最前に近づいていった。

『先輩ほんとに大丈夫ですか?今なら戻れるし…』

「ちょっと今話しかけないで」

乗りたく無い気持ちとの葛藤があるのだろう。

顔がマジだ。

『ごめんなさいっ』

そんなこんなしているとコースターが私たちの前に止まり、荷物を置いて乗り込む。

「いってらっしゃ〜い」

とキャストの陽気な掛け声に合わせてジェットコースターが急発進した。

それと対照的に先輩の顔面は蒼白。

それはいつもか。

「まだ死にたく無いまだ死にたく無い」

コースターが坂を登る音に重ねてイデア先輩の悲痛な呟きが聞こえる。

『死なないですってww』

自分で乗れるって言ったくせに〜。

「いや、これは死ぬ。この高さは死ぬ」

『それじゃあ心中ですね』

「それはそれで良いかmひぃぃいいいいいいやぁあああああああ!!!!!」

ジェットコースターが急降下し、体が浮く様な感覚になる。

もの凄いスピードで上昇下降を繰り返し、一回転、急カーブと忙しく動く。

「おかえりなさ〜い!」

コースターが止まった頃には先輩のライフはゼロに等しかった。

『おーい?大丈夫?』

「死ぬかと思った…」

『ごめんなさい無理させちゃって』

「大丈夫大丈夫」

悲壮感漂う面持ちで先輩は言う。

これからは三半規管に優しいアトラクションに乗ろう、私はそう誓ったのであった。

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作者名:Matyu | 作成日時:2023年9月19日 21時

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