十九説。 ページ21
家に着いてすぐ、お風呂に連れて行かれ、隅々まで綺麗に洗われた。
それはもう、念入りに…
そのままリビングで、丁寧に応急処置をされている。
終始零さんは、俺を心配そうに話しかけていた。
今は首にクリームを塗ってくれている。
「痛むか？」
『ん…大丈夫、そんなに長い時間じゃなかったから…』
「そうか…」
さっきまで流れで話せたけど、なんとなく気まずい。
昨日の今日だし、あんなことがあったし…。
クリームを塗っている零さんと目を合わせられず俯いてしまう。
すると零さんの手が止まった。
「……A」
『え…？』
反射的に顔を上げると、至近距離に在った碧色と合わさる。
不安と少し怒りを感じるその目は、やっぱり俺の好きな人のそれだった。
「お前に何かあったら、俺は平静を保っていられない。
昨日、Aが出て行った後、あいつに何かされないかって考えると、
恐ろしくて居ても立っても居られなかった…」
『零さん……』
「悪かった、俺の言葉足らずでお前に嫌な思いをさせた」
そう言って、眉を下げて、本当に悲しそうに話すものだから、
俺はつい泣きそうになった。
零さんは目を伏せて、俺の返事を待った。
俺は、涙が出るんじゃないのかと思って、彼の頬を撫でた。
零さんは驚いて俺の方を見た。
この人は、ただでさえ背負うものが多いから。
負担になりたくないと思ってたけど、やっぱりそれは叶わなかった。
でも、それでも傍で生きたいと思った。
俺は、俺が思う以上に我儘なんだ。
『零さん、謝るのは俺の方なんだ。
零さんの話を聞かずに、その、怒鳴って…ごめんなさい』
ゆっくりと、順番に話そうとする。
零さんはそれに気づいて、相槌を打ちながら待ってくれた。
『それから…ルール、破ってごめんなさい。
零さんを不安にさせて、ごめ、んなさ、い…っ』
駄目だ、まだ我慢するんだ。
どうして肝心な時に俺の涙腺は緩むんだ。
最後まで、ちゃんと言いたいのに。
『そ、れから…っ……守って、くれて、ありがと、』
堰を切るように、俺の涙は止まらなかった。
この一日で酷く怖い思いをしたことと、
これからも零さんの傍に居れるのか不安で、
頭が一杯になって、ようやく解放出来たことが相まって、余計にボロボロとこぼれた。
零さんは黙って、俺を抱きしめた。
頭を撫でる優しい手つきは、俺を酷く安心させた。
気づいたら、そのまま眠りに落ちていた。
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ごまめんま。(プロフ) - りらちむさん» 読んでいただきありがとうございます(*^^*)作者の好みで切甘に寄りがちです（笑） こんな感じですが、これからもよろしくお願いします( ;∀;) (2019年8月18日 19時) (
レス) id: 21ddb629a5 (このIDを非表示/違反報告)
りらちむ(プロフ) - やばい、ふつうに泣きそうになりました。最高です。 (2019年8月18日 2時) (レス) id: 75c68e6b22 (このIDを非表示/違反報告)
ごまめんま。(プロフ) - いおりさん» 温かいお言葉、ありがとうございます(´;ω;｀)頑張って語彙力伸ばしつつ更新に努めます('◇')ゞ (2019年6月23日 16時) (レス) id: 21ddb629a5 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - とても面白かったです。お忙しいとは、思いますが更新、頑張ってください。これからも応援しています (2019年6月22日 23時) (レス) id: 72842f6fe9 (このIDを非表示/違反報告)
ごまめんま。(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ確認して参ります (2019年6月21日 7時) (レス) id: dd15d2a8cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ごまめんま。 | 作成日時：2019年6月20日 17時
