十説。 ページ12
『……泊めて』
相「ハァ…お前なぁ」
あの後俺は、着の身着のまま走って、優の家に行った。
走ってる途中で雨が降ってきて、服はずぶ濡れだった。
優にはかなり迷惑をかけると思ったが、でも止まらなかった。
今は、あの家には居たくなかった。
相「とりあえず風呂入ってこいよ、風邪引くぞ」
『ありがと、優』
優は溜息をつきつつ、迎えてくれた。
すぐに理由を聞かないのは、優なりの優しさだ。
俺は甘えて風呂に入らせてもらった。
・
・
相「ほら、コーヒー」
『悪い、何から何まで』
相「気にすんな」
椅子替わりにベッドに座り、優はすぐ傍の床に座った。
優は俺から話し出すまでゆっくりと待っていた。
そのことに安心して、俺は話した。
『…零さんが』
相「うん」
『俺が、西村先生に気がある、みたいに言って』
相「うん」
『でも、俺は…零さんだから、好きなのに…』
相「うん」
『信頼、されてないって感じて…ショックで、怒鳴って…』
言いながら、ぐっと目尻が熱くなってきた。
止める術もなく、ボロボロと流れ出た。
声も震えて、視界も歪む。
『おれ、零さんにっ…嫌われたかもって……っ』
相「……」
泣き出したら、優はずっと俺の頭を撫でていた。
それがまた、加速させた。
相「A、あいつが本当にそんなことで嫌うと思うの?」
『ひぐっ…うっ…』
相「大丈夫、大丈夫だよA。
あんなにしつこいやつ、俺が認めるくらいAのことが好きだぜ」
『うっ…ふっ、でも…』
相「もしあいつがお前を見捨てるなんてことしたら、俺んとこ来い。殴ってやる。
だから、今日はもう寝ろ」
ベッドに横になると、優はお腹あたりをリズムよくたたいた。
子ども扱いされてる、といつもなら怒るところだが、
今日はそれが心地よかった。
俺はあっという間に、眠りについた。
・
・
「ったく、あいつ、Aを泣かせやがって…
手間かけさせてんじゃねえよ」
相田A、泊めるからな。
降谷…今日だけだ、すまん
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ごまめんま。(プロフ) - りらちむさん» 読んでいただきありがとうございます(*^^*)作者の好みで切甘に寄りがちです(笑) こんな感じですが、これからもよろしくお願いします( ;∀;) (2019年8月18日 19時) (レス) id: 21ddb629a5 (このIDを非表示/違反報告)
りらちむ(プロフ) - やばい、ふつうに泣きそうになりました。最高です。 (2019年8月18日 2時) (レス) id: 75c68e6b22 (このIDを非表示/違反報告)
ごまめんま。(プロフ) - いおりさん» 温かいお言葉、ありがとうございます(´;ω;`)頑張って語彙力伸ばしつつ更新に努めます('◇')ゞ (2019年6月23日 16時) (レス) id: 21ddb629a5 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - とても面白かったです。お忙しいとは、思いますが更新、頑張ってください。これからも応援しています (2019年6月22日 23時) (レス) id: 72842f6fe9 (このIDを非表示/違反報告)
ごまめんま。(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます!すぐ確認して参ります (2019年6月21日 7時) (レス) id: dd15d2a8cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ごまめんま。 | 作成日時:2019年6月20日 17時