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エピソード89 ページ18

地震かと思われたその音と揺れは、どんどんこっちに近づいてくる。
違和感に気づいた観客達が音のする方を見ると、とんでもないものを目にした。

観客「な、なんだあれ!?
パレードめがけて突進してくる奴らがいるぞ!」

その観客の言葉は本当だった。

大勢の観客達が、土埃をあげてディアソムニア寮の選手の列めがけて突っ込んできているのだ。
それを見た人も驚いているが、もっと驚いているのは群れを成した観客達だ。彼らは"好きでこうなっているわけではない"。困惑したまま、誰かに操られるように暴走しているのだ。

観客「う、うわああ!体が勝手に……!
どけ!どけ〜〜〜!!!」

観客「キャー!!押さないで!」

観客「逃げろ!押し潰されるぞ!!」

必死に叫ぶ者、いきなりの事に腹立たしく奢る者、慌ただしく逃げ待とう者…。
しかも悪い事に、列に突進する観客達に他の観客も巻き込まれてしまい、群れも騒ぎも更に大きくなっていく。

観客「うわぁ〜〜〜!!!」

選手を称え応援する声は、あっという間に悲鳴に変わってしまった。何事かと慌てたアナウンスが「落ち着いて下さい!」と避難を出すが、パニック状態の彼らにはもう届きはしない。
…そんな中、この騒動を起こした張本人……ラギーは観客の群れの中で走りながら笑っていた。

ラ「へ、へへ……アズールくんの魔法薬、スゲー!
こんな人数を同時に操れるなんて!
…ハァ、ハァ……でもさすがにきつい………っ
けど、ここでキメれば俺たちは……」


ラギーのユニーク魔法[愚者の行進(ラフ・ウィズ・ミー)]は、相手を自分と同じ行動をさせる能力がある。例えば、ラギーが右手を動かせば相手も右手を動かしてしまう。
そして、先ほど飲んだあの苦い薬は、「魔力増幅薬」。効き目は30秒と短いが、ラギーにとってはそれで十分。人の集団全員をディアソムニアの列へと走らせるよう操れば、後は慌てふためいた人達が操っていなくても足を止める事は出来なくなってしまうからだ。

しかし、集団を操るのは相当の負担がかかる。ラギーは苦しそうに顔を歪めながらも、それでも何かに希望を持つように、挑発な笑みを浮かべカラカラに叫ぶ。

ラ「さぁ、一般人に向かって魔法撃てるッスかぁ?
妖精族の王子様であるマレウス様は、使いたくてもつかえないッスよねぇ!?

さぁ、潰されちまえ!!」


恐れを成して逃げ待とうヌーの群れのような観客の大群の中、ラギーの狂喜的な笑い声はかき消されながらも響いていた。

エピソード90 (場所間違えていたので書き直しました)→←エピソード88



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布教する猫(プロフ) - コメントありがとうございます!いやぁめっちゃ嬉しいです!私も書いててニヤニヤしてしまうんですよ… (8月3日 12時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - どうも初見です!このクロスオーバー好きすぎる!勢いで6まで読んでしまった‥推しがオクタなので出てきた時のニヤケが‥ (8月3日 12時) (レス) id: 4bbc6a8f1f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:布教する猫 | 作者ホームページ:nhatev-hdfs yue1  
作成日時:2022年9月24日 2時

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