〜猫参り�◆� ページ3
十「あっ」サッ
「丁度描き終わった所で」
店「そうですか ご苦労さまでした」
「さ お茶を」
店主が湯呑みを置こうとして ガチャン と落としてしまった
お津「あっと」
十「大丈夫かい ご店主」
店「は…はい 時々、目が痛みまして」
お津「………」
十「それはいけねぇ 医者には行ったのかい」
店「いえ 一時もすれば治まるんで……」
すると一匹の猫が店主に歩み寄り
「なぁああん」
店「手白？」
ざりざりと店主の目を舐め始めた
店「ははは こら、やめねぇか」
「なぁに 心配はいらねぇよ」
店主は手白と呼んだ猫を抱き奥へと下がって行った
十/ニ/お津「………」
〜その夜遅く〜
「う…あ…」
ぴく
「…いたた」
〜翌日〜
お津「絵は いりませぬか〜」
十「猫 描こう〜」
いつも通り猫絵を売っている十兵衛ら一行
すると、一匹の猫がよたよたと神社の方へ歩いているのを目にした
十「ありゃ？手白かい」
お津「おそらく しかしあの子…」
十「お津根？」
女「おや 兄さん方
手白を知っていなさるんで？」
十「ああ 先日そこの飯屋に猫絵を描いて
って あれ？」
お津「飯屋さん 閉まってますよ？」
女「えぇ 久蔵さん所、お休みしているんですよぅ」
十/お津「え？」
女「実はねぇ、久蔵じいさん
目の病で臥せっていてねぇ」
お津「病、ですか」
女「はい お医者が言うには両眼とも見えなくなるらしいですよ」
「気の毒にねぇ」
〜飯屋の中〜
寝ている飯屋の主の目の上に乗せられている湿った手ぬぐいをちょいちょいと触る猫
店「手白かい」
返事をする代わりに、手白はざりざりと店主の右目を舐める
店「これこれ くすぐってぇよ」
「お前達が傷をなめて治すのとは違うんだぜ」
「ははは お前は優しい子だ
ありがとうよ 手白」
〜草木も眠る丑三つ時〜
ムクリと起き上がった手白は静かに店を出ると鳥居をくぐり、社の石段に座り何かを願っていた
そして明け方頃、そっと寝所の障子を開けて中に入り店主の右目をなめるのだった
数日後の明け方頃、神社の前に十兵衛と二匹の動物がいた
一匹は猫のニタでもう一匹はキツネ姿のお津根である
十「う〜〜 寒ィ」ﾊｧ-
お津「う〜 寒いのは嫌いです」
そう言ってお津根は十兵衛の肩に乗り襟巻きの様に丸まった
お津「ニタ公だけ十兵衛殿の腕の中とは狡いですｯ」(ꐦ꒪⌓꒪)
ニ「…雪の匂いがするぞ 十兵衛」
お津「無視ですかｯ╬」
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作者名：カピバラ | 作成日時：2019年3月23日 15時
