説明 ページ35
お館「そうだね、どこから話そうか。」
お館様がふわっと微笑まれる。野球部員らに、どこから説明して欲しいか問いているような…。
倉「なんで由奈は捕まった。」
警戒心と共に発せられたその言葉に、やっぱりそこからだよな、という空気が流れる。
お館様はまた少し笑って口を開いた。
お館「この隊には"隊立"という最低限のルールがあってね、それは事前に知らされるんだよ。木村由奈は、その隊立の中でも1番やってはいけないことをした。」
お館様の表情が、すっと真剣になる。先程まで柔く微笑んでいらっしゃったが、今の表情は怒りだ。
お館「自分の名声欲しさに、他人を陥れ殺した。それは、この隊で最も犯してはいけない罪だ。他にも、隊のお金を盗んだり、鬼に情報提供をしたり…かなりの隊立を犯しているよ。」
信じられない、そんな顔をしている選手達も真実は分かっているのだろう。ただ、その事実を受け入れられない。
降「その鬼っていうのはなんですか。なんでA先輩が隊に入ってるんです?」
お館「鬼…人を殺して喰う化け物の事だよ。平安時代からずっと存在している。ただ、普通に暮らしていれば遭遇率はそう高くはない。だから、あまり信じて貰えないんだ。」
沢「なんで先輩が隊にはいっているんですか?」
…。
沈黙が流れ、数分後お館様がこちらを見る。"話してもいいか"と聞いているようだ。
嫌だが、さすがにこのまま無視は出来なさそうだ。
かと言って、お館様にこの話をさせるのも気が進まない。
『私が話します。』
…自ら話すしかないか。
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作者名:空気 | 作成日時:2020年7月20日 14時