遠い目 ページ23
白河side
光波が俺たちに刃を向けた。
ゾワッ
今まで感じたこともないような緊張感、殺意、圧。
背筋が凍るような眼差しに、俺たちは動けずにいた。
『…と、まぁそういうことですので、他言は控えてください。』
スッと刃を鞘に入れ、元の落ち着いた光波に戻った。
『では、私達がここに来た理由を説明します。
私達は政府非公認の組織"鬼殺隊"に与している隊士です。
1週間後の青道との練習試合、その日、私達鬼殺隊は、ある"裏切り者"を捕えなければなりません。』
光波が、監督を見つめる。いつになく、真剣に。
『その際、会場である稲実グラウンドを"戦場"として使わせていただきたい。心配はしなくて大丈夫です。
被害は最小限に留めますし、器物破損まではいかないよう、こちらも細心の注意をはらう。選手達にも、怪我はさせません。
もしも何かあったら、慰謝料、治療費、改修費など、すべて私達が負担します。
ご協力はしてくれなくても問題はありません。』
そう言って、光波と、光波と一緒に来た刀を持った奴らがいっせいに頭を下げる。
『ご了承のほど、よろしくお願いいたします。』
俺とカルロス、監督や林田部長は何が何だかさっぱり分からない。
だが鳴は、何かを知っているような遠い目で、光波達を見ていた。
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作者名:空気 | 作成日時:2020年7月20日 14時