プロの時間 ページ48
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「─────とーぜんっしょ？
あんたが素手の闘いをしたかったのはホントだろうけど、この状況で素手に固執し続けるようじゃプロじゃない。
俺らをここで止めるためには、どんな手段でも使うべきだし、俺でもそっちの立場ならそうしてる」
心の芯に触れられたような気がした。
相手のプロ意識すらも、逆手にとったんですね
赤羽さんが長い足を組んで座り込む。
「あんたのプロ意識を信じたんだよ。
信じたから警戒した」
殺せんせーが言い出した。
「大きな敗北を知らなかったカルマ君は期末テストで敗者となって身をもって知ったでしょう。
敗者だって自分と同じ、色々考えて生きている人間なんだと」
その言葉を聞きながら、思わずその横顔に見惚れる。
「それに気づいた者は必然的に、勝負の場で相手のことを見くびらないようになる。
自分と同じように考えていないか、頑張っていないか、敵の能力や事情をちゃんと見るようになる。
敵に対し敬意を持って警戒出来る人。
戦場ではそういう人を、『隙が無い』と言うのです。」
場違いなことを、ひしひしと感じてしまった。
私は、彼のそういう所が好きなんだと。
「……大した奴だ少年戦士よ。負けはしたが楽しい時間を過ごせた……」
「え、何言ってんの？ 楽しいのこれからじゃん」
………………ん？
赤羽さんが取り出したのは、私からはよく見えないが、恐らくスーパーでよく見るチューブ。
「……なんだぬそれは？」
「わさび&からしー。おじさんぬの鼻の穴にねじ込むの」
ものっすごい楽しそうに彼が言う。
……すみません、止められる自信がありません
外国人の彼のためにそっと十字を切りながら、目を閉じて見ないフリをした。
…………この人のこういう所が私は嫌いです。
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作者名：花言葉 | 作成日時：2019年1月15日 15時
