崖登りの時間 二時間目 ページ38
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シュッ、トッタッ
軽やかな無駄のない動きで、途中に生えている木をも駆使して登っていくひなたさん。
「身軽ですねぇひなたさん……」
「キョウも大して変わんないくせに」
横で一旦静止した赤羽さんが言う。
返そうとすると、下方から断末魔が聞こえてきた
「……イリーナ先生まで来られる必要は果たしてあったのでしょうか」
のけものが嫌らしくついてきたそうですが。
背中にロングドレスのイリーナ先生、片手に殺せんせーが入っているビニール袋という状態の烏間先生の何ともキツそうなこと。
「赤羽さん、先に行っててください」
言い残し、頑丈そうな岩を狙い下りていく。
「イリーナ先生。私に移ってもらえますか」
「香澄？」
「ある程度後ろに重心がきてる方が登りやすいので」
「分かったけど……お、落ちないでよ！」
足場を恐る恐ると渡りながら私の背中にくる
「しがみついといてください」
「音無さん、大丈夫か？」
「ご心配なく。イリーナ先生、足もなるべくブラつかないように」
「え、ええ」
短い会話を交わし、イリーナ先生の長い足が私の腰にしっかりと巻きついたのを確認し。
小さく息を吐いて、一気に登りだした。
手はつかんだ岩を後ろに突き放すように、足は爪先だけで強度を確認して時間をかけず。
ついた手の先にもうゴツゴツとしたものが無いのを目でも認識して、頂上に登った。
「ッハァ……イリーナ先生大丈夫です？」
「フリーウォールの逆バージョンみたいな感じだったわよ……」
魂半分くらい抜け出てそうでしたけど肉体面は大丈夫ぽいのでスルーしましょう、はい。
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作者名：花言葉 | 作成日時：2019年1月15日 15時
