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「良いね。じゃあ私もちゃんと女優目指さないとね。色々勉強しなきゃ」
「ええ。……もう、食べきっちゃいましたね。」
すっかり空になったお皿に目を向けて言う。
「ホントだ。結構あったと思ったけど、案外あっという間だったね」
「お茶、淹れ直しましょうか？」
「……ううん。もうお腹一杯だよ。ごちそうさま」
「そうですか。………もう、帰られてしまうんですか？」
あまり引き留めるのも良くないと思いながら素直にAさんを見送れない自分がいた。
「えっ、うぅ〜〜ん……流石に長居しちゃったし、片付けたらお暇しようかと思ってたけど……」
「あ、良いですよ！ 私が片付けますから。」
「だって、お邪魔してお菓子まで頂いたし……それくらい手伝うよ？」
親切を無下にしたくない気持ちと、申し訳ない気持ちが脳内で戦争を繰り広げる。
数十秒の戦争の後、前者に軍配が上がった。
「………では、カップとお皿だけ運んでいただけますか？」
「了解〜」
軽く答えてカップとお皿を持っていくAさん。
ボウルや片手鍋をシンクに置き、水を流してある程度溜めると中性洗剤をスポンジにつけて洗い始める。
「この辺置いとくね。拭くのも手伝うよ」
「ありがとうございます。えっと、布巾は……
これ使ってください」
上の戸棚を探り、新品を手渡す。
「うん、ありがとう」
「……お願いします」
カップを差し出すと、ピッタリの動きでAさんも手を出して受けとる。
「ん、」
「……言うのもなんですけど、阿吽の呼吸ですね」
クツクツと女子らしからぬ声が落ちる。
「初めて会った筈なのにね」
Aさんも笑い、思い出を語るようにどちらからともなく話し出す。
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作者名：花言葉 | 作成日時：2019年1月15日 15時
