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試合は1対2の接戦で、八回表に突入したとこ。
ツーアウト満塁、逆転の大ピンチ。
"__1番 セカンド 山田 哲人 "
ここまで菅野さんが抑え、1点差でリードしているジャイアンツ。
逆転の大ピンチに、バッターボックスに入るのは山田さん。
隣には、智之さん頑張れ！と叫ぶ蓮。
マウンド上の菅野さんに声をかける内野手の皆。
緊張が走る球場内。
｢ボール…！｣
一球目はアウトコース低め決まらずボール。
一度バッターボックスから足を外す山田さん。
……え？
こちらを振り返り、山田さんと目が合った。気がした。
ニヤッと笑った山田さんは再びバッターボックスに入る。
｢え、山田さん今Aの方見てなかった？｣
気のせいじゃなかったのか、やっぱり蓮も同じ事を思っていた。
ドキン、とまた高鳴る胸を抑える。
" ピッチャー菅野、抑えることが出来るか、二球目投げた…っ！ "
__________カキン
球場内の全員が球の飛んで行った方を追う。
" レフト方向に打球が伸びる、伸びて…入ったーーー！！！山田哲人、逆転スリーランです！！ "
｢は…入っちゃった…｣
マウンドではガックリと肩を落とす菅野さん。
山田さんは3塁を回ってホームベースまで帰ってきた。
そして今度はしっかりとあたしと目を合わせ、笑顔でガッツポーズをしてくれる。
逆転されちゃったけど、山田さんやっぱり凄いな、
あんな場面でホームラン打っちゃうんだもんな…
試合はそのまま進み、5対2でスワローズの勝利。
｢あー、負けてもうたなあ。しゃーない、また明日や！行くでA！試合終了後の片付け業務だけ教えとくわ！｣
｢うん、｣
蓮と2人で、またベンチの方へと向かっている途中
前から菅野さんが歩いてきているのが見えた。
｢智之さんおつかれさまです、｣
｢お、おつかれさまです…！｣
｢お、蓮にAちゃん。おつかれ。恥ずかしいとこ見せちゃったね…、｣
アイシングでぐるぐる巻きにされた肩を抑えながら言った。
｢…ナイスピッチングでした！また次頑張ってください！｣
｢ありがとね、Aちゃん、｣
おかげで元気でたよ、と言ってそのまま歩いていった。
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作者名：向日葵 | 作成日時：2021年4月22日 13時
