プレイガール (ページ13)

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「おチビちゃん、待って。」

走ってあたしの事を追いかけてきたのは山田さんだった。

「どうしました？」

「いや、君の名前と連絡先知りたいなと思って…笑」

やばい……大好きな山田さんからそんなこと聞かれるなんて

これは夢…？

で、でも連絡先とか交換しちゃだめだよね。
けど知りたい！ああ～～どうしたらいいの…

漫画でよく見るような、頭の中で天使と悪魔が戦うシーン。

本当にあたしの頭の中にも天使と悪魔がささやいていた。

「たぶん、あたしなんかが連絡先交換していい立場じゃないと思います…。あ、名前は南 Aって言います。」

「俺、もうあだ名決めててん笑。ちーちゃんって呼んでもいい？背ちっさいから、ちーちゃん笑」

少しだけ恥ずかしそうに笑う山田さんに心臓がドキンと高鳴る。

「あ、呼び名はなんでも大丈夫です、笑」

「じゃあ、ちょっとケータイ貸して。」

そう言ってあたしに手を差し伸べる山田さん。
すごく大きくて、豆だらけのゴツゴツした手のひら。

誰が見ても努力してるのが伝わる手だった。

ケータイで何するんやろ…
と思いながらポケットからケータイを取り出し、山田さんに差しだす。

あたしからケータイを受け取った山田さんは
慣れた手つきであたしのケータイを操作している。

「はい、おっけー。俺の番号入れといたから。もし気が向いたら連絡してきて笑、交換じゃないからいいやろ？笑」

返されたケータイの画面は電話帳を開いていて、
そこには“山田哲人”と記されていた。

「じゃ、ノック始まるから行くわ！またな、ちーちゃん！」

それだけ言い残して早々とベンチの方へ戻っていった。

いきなりの事すぎて頭が全然追いつかない。

しばらくその場に立ち尽くしてたけど、
ハッと思い出した。

「蓮のとこ、戻んないと！」

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