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「もう終わったかな？」
トイレに逃げ込んでから20分くらいは経った気がする。
なるべく、坂本勇人には近づきたくないって思ってるなんて
蓮は知らないだろうから…。
重い腰を持ち上げ便座から立ち上がり
トイレから出た。
「…あれ。どっちから来たっけ…。」
トイレに何分もこもってたせいで、見事に来た方向が
わからなくなってしまった。
考えてもわかるわけないので、なんとなくそれっぽい方向に
歩いていくことにした。
しばらく歩いてると、見覚えのある光景が見えた
「お！合ってるやん！」
ルンルンでベンチに入っていくと、さっきとは真逆の景色だった。
「あれ？ボールガールちゃん。こっち三塁側やで 笑」
……！！！山田哲人さん…！
あたしは反対の三塁側ベンチに来てしまってたらしく
周りにはヤクルトスワローズの選手がたくさんいた。
しかし、何を隠そうこのあたし実はヤクルトスワローズの、いや、山田哲人さんの大ファンなのです！
「ま、間違えました！すみません！…あの、山田哲人さん！大ファンです！応援してます、頑張ってください！！！」
目の前にいきなり大好きな人が現れたもんだから
思わず口に出てしまった。
一瞬驚きの顔を見せた後、爆笑しだす山田さん。
「待って…笑 敵チームにそんなこと言う子おる？笑 おもろすぎ笑」
あたしが今日から東京ドームで働くジャイアンツのボールガールなんてことは
頭からすっぽりと抜け飛んでいた。
でも、こんな近くで山田さんの笑顔が見れるなんて、
幸せすぎる…。
チラっと一塁側のベンチを見ると、蓮がものすごく焦った顔で
あたしに手招きしてた。
早く戻らないと…汗
ここ突っ切っちゃっていいよね…
焦ったあたしがベンチからグラウンドに足を踏み入れようとしたその時
後ろから腕をつかまれた。
「今からノック始まるから、危ないで。後ろから戻りい」
山田さんが止めてくれたことより、山田さんの手があたしの腕に触れていることに対して
余計パニックになった。
「す、すみませんでした！失礼します！」
ベンチ内のスワローズの選手に謝ってから
元来た道を歩いていると、
また後ろから誰かに呼び止められた。
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作者名：向日葵 | 作成日時：2021年4月22日 13時
