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「A、頼む！父さんからのどうしてものお願いなんだよ！」
目の前には必死に私の目を見つめて頼み込むお父さんがいる。
いまにも土下座なんてしそうな勢いだ。
「・・・あたし高校生活楽しみたいんやって〜。ずっと前から言ってたやん！」
「それは承知の上でお願いしてるつもりだ。・・・でも、父さんの大事な友達の頼みなんだよ」
「何言われても無理！大阪から引っ越してきたばっかりでまだ何もわからんのに、アルバイトなんて無理！！！」
キッパリ言い切ると、明らかにしょぼくれるお父さん。
だけど諦める気配はなさそう…
「頼む！この通り…！」
と言い、私の前で土下座なんてしだすもんだからさすがのあたしも困ってしまい
ついOKを出してしまった。
「わ、わかったってば。しょうがないなあ…」
「A〜！！！！ありがどう〜〜〜〜」
「ちょっと！泣かんといて！大げさ！…てか来んといて！！」
泣きながら抱き着いてこようとするもんだから、びっくりして避けると
なんや、昔はしょっちょうハグしてたのに…
ってブツクサ言ってるけど、そんなの大昔の話じゃん。はあ。
「A！明日12時に家出るからな！頼んだぞ！さ、ご飯食べよう！」
行くって言った瞬間、コロッと変わって超ご機嫌で
お母さんのいるリビングの方へと歩いていく。
…あたしの新生活、どうなっちゃうのよ〜〜
少し前に、中学卒業と同時にお父さんの転勤で大阪から東京に引っ越してきた。
本当はあたしが中学二年の頃にお父さんの転勤が決まったんだけど
中学の皆と離れたくなくて、ワガママ言って一年長く大阪に居させてもらった。
その時の恩もあるしな…。
「…でも、新しい高校生活楽しみにしてたのに〜！放課後友達とカフェとか…プリクラとかあ〜…泣」
仕方ないか、友達もできるかわかんないし。
まぁ、なるようになるでしょ。
「お母さーん、あたしさっきお菓子食べちゃったから晩御飯いいや！」
「はいはい、わかったわよ。明日の朝ごはんに置いとくわね」
「うん、ありがと！」
…しかも、お母さんまでお父さんの見方だったら
断りようがないしね。
なんかどっと疲れたなぁ。
もう寝よ…
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作者名：向日葵 | 作成日時：2021年4月22日 13時
