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〜翌日〜
昨日カメラを設置した後、何とか解放されることになった。のだが…
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重たい機械を運んだ谷山さんは腕も足も痛いという様子で体を伸ばしている。
『疲れましたね〜』
「そうだねー。そう言えば右手は大丈夫?」
『平気です』
他愛もない会話をしていると、背後から渋谷さんの声がした。
「明日は放課後、車の所に」
げげっという顔で谷山さんが振り返る。つられて私も振り返ると、不穏な笑みを浮かべる渋谷さんがいた。
「まさか、すでにカメラ一台分の働きをした、とは言わないな?」
…言えるはずもないです。はい。
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ということがあり、今日も渋谷さんの元に向かっている。
渋谷さんの車に行くと、なにやら人がいる。
谷山さん、渋谷さんにプラスして派手な女性と長髪の男性。
渋谷さんの知り合い、というわけではなさそうだ。
「お手並みを拝見しましょう────大先輩のようですから」
‘大’を強調した渋谷さんの声が聞こえる。
空気が悪くて近寄りづらいな…
「あ、夜月さん!」
『こんにちは、谷山さん』
どうやって会話に入ろうかと悩んでいたとき、谷山さんが声をかけてくれた。
4人から少し離れたところで立ち止まっていた私は、谷山さんの隣に移動する。
「ふぅん?こっちの子供もあんたの仲間?」
女性が私を見つめて怪訝そうに言った。
『荷物運びに雇われただけの一般人です』
「へぇ?…で、坊やは?」
「校長からお聞きでは?僕の年までご存じのようですから」
渋谷さんは素っ気なく答えた。声も態度も、おまえ達には全く興味がないといっているようだ。
「まあ聞いてはいるが。渋谷に事務所を構える心霊調査の専門家」
「補足することはありませんね」
長髪の男性はニヤリと笑う。
「一等地に事務所を構えてるくらいだ、信用できると思ったのに所長があんな子供だなんて詐欺だ、と校長が言ってたぜ?」
「そうですか」
渋谷さんはあくまで素っ気ない。そしてその後もピリついた空気は続く。
いつになったら昨日の続きが出来るのだろう…
不毛すぎる争いを続ける3人(渋谷さんをのぞいて2人?)。
「谷山さん…と夜月さん」
妙に親しげな声が聞こえる。
グラウンドを見ると、なんと黒田さんがいるではないか。
黒田さんは学校で自分には霊感がある、と言ってまわっている少々痛い人だ。
これ以上空気を重くしないでほしいものだが…
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作者名:あんみつ x他1人 | 作成日時:2023年3月13日 18時