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二宮「今日はありがとね。」
A「いえ……、こちらこそ、助かりました…。」
とっとと帰ろうって思ってたのに、
ニノと過ごした２時間は、まるで夢みたいな時間で。
この時間が終わってしまうのが、今はすごく寂しい。
二宮「じゃね。」
小さくてぷくぷくのニノの手。
その絡んでいた指をニノがパッと離した。
急に無くなった指先の温もり。
ニノの手を追いかけそうになって、私はグッと拳を作る。
なんで、今、気づくかな……。
私……、
女優にはなれないな。
疑似で体験したニノの恋人。
キラキラ眩しい笑顔に、
手の温もりや、薄い唇の柔らかさ。
たった数時間、恋人を演じただけなのに、
いつの間にか恋に落ちた私は、
ニノがすごく好きなってて。
あり得ない出会いだったのに、
別れが辛くて、泣きそうだ。
離れていくニノを想像して、
悲しくて、悲しくて。
ニノの背中を見たくなくて、
下唇を噛みしめて俯く。
視界に入ったニノの靴。
踵が、くるりと爪先に変わる。
二宮「A…。」
A「……。」
優しい声で呼ばれても、顔があげられない。
そんな私の頬を、
ニノの手のひらが包んで、上を向かせる。
唇にふわりとニノのそれが触れる。
グッと抱きしめられた腕の力。
二宮「また、会えるから。」
耳元で囁いたニノ。
だけど、
ウソよ。そんなの。
もう会うことなんてないわ。
だって私達には、ココ以外には接点が無いもの。
その場凌ぎの言葉だと分かっていた。
でも、現実になることを少しだけ夢見て。
A「うん。」
涙を溜めたまま、私は精一杯、微笑んで返した。
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それから数カ月後。
大きなバラの花束を持って、
二宮『ね？言ったでしょ？(笑)』
ニノが私の誕生日に家にくるのは。
また別の機会に。
fin
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作者名：１２(とうふ)の角(かど)に頭ぶつけ隊
x他3人 | 作成日時：2013年12月3日 12時
