12月12日 ― 恋堕好日 ― (ページ30)

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■08. ページ30

「あと、もう1個、バカついでに謝らせて」
「え？」
「ずっと、黙ってたことが、ある」
顔を曇らせた私の頬を、そのあったかい優しい手で包みこむと、んふふと楽し気に笑う、二宮くん。
「夏休みからずっと、バイト、してた」
「え？」
「だから、放課後とか土日、会える時間、減っちゃった」
ごめんね？
と、目の前で頭を下げられる。
「なんでバイトなんて・・・」
「Aに、喜んでもらおーと思って」
「わ、たし？」
そう、って恥ずかしそうに顔を上げたその耳まで、真っ赤。

「クリスマスにね？何かあげたいなー、て思ってて」
「え？夏、から？」

聞けば、マユから私が欲しがってるものをたまたま聞いて、よしそれ！って思ったものがあったんだ、という。

「慣れないことは、するもんじゃないね？」

驚かそうとしてやったことは全て裏目で、ドンドン私の離れてゆく心がわかったのに・・・でももう、どうすることも出来なかったのだ、と。

「なんだかわかんねーけど、クリスマスになれば、どうにかなんじゃねーかって、勝手に思ってた」
でも違ったな
と苦笑い。

「相葉さんに言われたんだよ。井本先輩の笑顔、最後に見たのいつ？ってさ？」
あーもークソ！
と悔しそうな二宮くん。

「淋しい想い、させてごめん」
「・・・ん」
「もっと早く、ちゃんと言えば良かった」
「・・・うん」
「嫌いになっちゃった？」
「・・・・・・・・ううん」
「そ、よかった」
ふんわりとした優しい笑み、に、私も思わず微笑む。
「あ、やっと笑った」
ぷに、とホッペをつままれて、でも嬉しくて、うふふふと笑う。

チュ
不意打ちのおでこへの、キス

間近になった唇に、思わず目を奪われる。

「俺だけ、見てて」

視線だけ上げると、切なげな瞳が間近でユラユラ揺れていた。

二宮くんも、不安でいてくれた？

私が二宮くんのこと、想うみたいに

二宮くんも私のこと、想って、眠れなかったり、した？

「俺が、どっか変なとこいかないように、見張ってて」

チュ、と左頬に

「俺、Aのことになっちゃうと、バカんなっちゃうみたいだからさ」

チュ
まぶたに

「Aがちゃんと、見てて」

チュ
右頬に

私に

二宮くんの想いが、言葉が、吹き込まれる。