12月12日 ― 恋堕好日 ― (ページ28)

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■06. ページ28

おずおずとマユに引っ張られるようにして出て行った校門前。
相葉くんと、二宮くん。
笑顔の相葉くんとは対照的に、二宮くんは、困ったような、顔、してる・・・

「あの・・・二宮くん、ごめん、ね？」
私の言葉に、益々顔が曇る。
そんなギクシャクした私たちを置いてけぼりに、相葉くんとマユは、さっさとデートへと出かけて行った。

「相変わらずだな」
相葉くんとマユが仲良く寄り添って歩く後ろ姿を眺めながら、満足そうに、二宮くんはつぶやく。
「うん・・・仲、いいよね」
私も、そんな2人を眺めて、思わずつぶやいた。
「さて、じゃ、俺たちも行くか」
「え、と・・・どこ、行く？」
「まー・・・とりあえず駅？」
久しぶりに間近で合った煌めく瞳に、私は思わず俯く。
「はい」
その俯いた視界の中に差し出された、右手。
おずおずと左手を差し出すと、ギュとそれを強く握られた。
「あーあー、こんなに冷えちゃって！」
ニギニギとつないだ指と指を絡ませて、二宮くんが笑う。

手を引かれ、駅までの道を、歩く。

初めて、だな・・・こうして二宮くんと、手をつないで、並んで歩くの・・・

いつも、隣に並んで歩いても、こうして手をつなぐなんて、なかった。

「二宮くん、忙しかったんじゃないの？」
恥ずかしくて、何か喋らなきゃ、と出た私の可愛くない言葉にキョトンとしたその人は、ふっと破顔して、そんなことないよ、とつぶやく。
「そっちこそ！なんで早く終わるなら連絡くれないのさ？わかってたら始めっから約束できたのに」
「だって、二宮くんもテストだったし？イロイロ、あるのかな、って・・・」

答えれば答えるほど、なんだか惨めな気持ちになって、ちょっと、泣きそうになる。

時間、あったんじゃないの？
もっといっぱい会いたかったよ？

言いたいことは、たくさんあって
けど
言ったら言ったできっと
二宮くんを困らせるだけだ、って
面倒臭いやつって思われちゃうよな、って

頭の中

グルグルグルグル

ここ数ヶ月
なんとなくすれ違ってきた日々の
想いが、巡る。

「・・・そんなに不安だった？」

えっ？て俯いてた顔を上げると、困った顔の、二宮くん。

さっき、マユが相葉くんに言ったのが、伝わっちゃったのかな・・・

何て答えていいのかわからなくて、私は再び俯いたまま、ただ、歩き続けた。