12月12日 ― 恋堕好日 ― (ページ25)

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■03. ページ25

「あ！来た来た！マーユー！」
やっと校舎から出て来た2人に、相葉さんは大きく片手を上げる。
俺たちは校門のところに並んで立ち、2人を待った。

「井本先輩てさ、すんげーニノのこと、大好きなんだね」
「は？」
振り仰いだ先には、正面を向いたままの、相葉さん。
「だーかーらー、ニノは、もっともっと大好きって、言わなきゃダメだよ？」
真っ直ぐ、正面から歩いて来る、愛おしい人を見つめる男の横顔が、そこにはあった。

「先輩、ニノをこんなとこで待たせて、怒らせたかも、って、思ってるみたい」

なんだよ、それ・・・
だいたいさ、俺は自分のしたくないことは絶対しない主義なの、Aだってもうわかってんだろ？
「だーかーらー！そやってすぐ怒らないのー！」
相葉さんは呆れたように首をすくめると、ふいに俺の耳元に唇を寄せた。
そこからこぼれおちた言葉たちに、俺は思わずその間近にあった顔を睨んだ。
しかし今日も、相葉さんの瞳は、とても穏やかだ。

「ニノなら、本当はわかってんでしょ？」

何か言い返そうと言葉を探している途中で、Aとマユが目の前までたどり着いてしまった。
2人とも、自然と校舎を振り返り他の学生さん同様、キレイに校舎に向かって一礼。
「もー！来るなら来るって言ってよ！！」
顔をあげたマユが、相葉さんにプリプリ怒りながら詰め寄る。
ごめんごめん！て笑いながら謝る相葉さんは、超嬉しそうだ。
「サプライズとか！やめてって言ってるでしょ！！」
「そう言いながらマユマユだって、楽しんでるくせにー☆」
そう無邪気に笑う相葉さんの横で、俺、どんな顔してたのかな？
もしかしたら怖い顔、してたのかもしれない。

「あの・・・二宮くん、ごめん、ね？」

Aは、本当に申し訳なさそうに、俺に謝る。

・・・

別にさ、謝って欲しくなんかねーよ、こっちはさ？
そんな言葉より・・・

「んじゃ、またね！ニノ」
「は？」
「俺たち、今からデートだから☆」
ねー？て、バカップルめ・・・この短時間で何をこっそり打ち合わせたんだよ。妙な息の合い具合、不自然感はんぱねーだろ？
「あ、ニノたちは、ついて来ないでね？」
「なんでだよ」
「俺たちのデートだぞ！邪魔すんなよ！」
ほら！行こ！と相葉さんはマユの手を拐うと、井本先輩もまったねー☆とバチンとへったくそなウィンクをして、あっという間に俺たちの前から去って行った。

取り残された俺たちは、妙な空気のまま、顔を見合わせたんだ。