12月12日 ― 恋堕好日 ― (ページ20)

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□08. ページ20

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目が覚めたら、隣にあったはずの温もりは

跡形もなく消えていた

「全部、夢だったとか…？」

口にしてみてから、頭でありえないと否定する

だって、ベッドの下に脱ぎ捨てられたバスローブは二つあるし

体にはまだ特有の気怠さだってのこってる

でも思わず夢だと思ってしまう、それくらい現実離れした出来事だった

…まぁ、どっちだっていいや

だって、きっともう２度と会うことなんてないし

何も言わずに消えたんなら、向こうもそのつもりなんだから

これ以上考えたって、何がどうなるわけでもない

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それに、昨日よりも少し気分がマシな気がするのは

きっと間違いなくニノミヤカズナリのおかげだし

どっちにしたって、今日の夕方にはもう飛行機に乗って

私は今度こそ本当の現実に戻らなきゃいけないんだ

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早めにチェックアウトして、めいっぱい大阪を楽しんで

新幹線に乗るころには、昨日よりもう少し来てよかったって思えた

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週明け、いつも通りの毎日が始まると

あの日のことはますます遠くに感じられて

だんだん頭の片隅に追いやられてく

それと同時に別れた彼のことも

驚くほどすんなりと過去へと変わっていった

まるで嫌な事全部、ニノミヤカズナリが持ってったみたいに

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仕事の忙しさにかまけているうちに

あっという間に１２月に入っていた

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珍しくかかってきた電話は、大学時代の仲間からで

年に一度の同窓会と忘年会を兼ねた飲み会の

幹事に当たってる子からだった

◇「悪い、Aさぁ、良子の連絡先知ってる？」

「良子って確か番号変わったって連絡来てたんじゃない？

…うん、たぶん分かるよ」

◇「じゃ、良子にはお前が連絡しといてくれる？」

「うん、わかった」

日程と場所をメモして、電話を切ってから

忘れないうちにかけておこうと

スマホの連絡先を呼び出した

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「……？これって…」

覚えのない電話帳のメモリの存在に

胸がドキンと鳴った音が、やけに大きく聞こえた気がした