12月12日 ― 恋堕好日 ― (ページ18)

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□06. ページ18

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ニノミヤカズナリの言葉の意味を

考える間もなく、柔らかな感触が唇に触れる

(…あ、この人キス上手い)

そう思うのに時間なんてかからなかった

そりゃあ、こんな簡単に女の子押し倒しちゃうくらいだから

きっと私が聞いたら白目剥いちゃうくらいの経験があるんだろう

ヤケクソってわけじゃないけど

どうせもう二度と会うことだってないだろうし

私が行きずりのニノミヤカズナリとこんなことになったって

悲しませる人だっていない

頭の中でいろんな言い訳を並べるのも

ニノミヤカズナリが私の下唇を緩く噛んでから

催促するみたいに舐め上げた舌を、受け入れた瞬間にもうやめた

だって、触れ合う暖かな肌はこんなにも気持ち良くて

丁寧に触れられると、体はふわふわと軽くなる

たとえ今だけでも、勘違いでも、

求められてると感じるのは、やっぱり幸せで

アルコールと、ふかふかのベッドと、ニノミヤカズナリ

きっと今、私はそんなに不幸じゃない

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ニノ「……名前、なんて言うの」

汗で張り付いた私の前髪を指で掬いながら

焦点の定まらない目を見つめられる

哀しい気持ちになるんじゃないかって、そんな気がしたけど

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ニノ「……A」

それはあの人が呼ぶよりずっと優しく聞こえて

私のナカのニノミヤカズナリを甘く締め付けた

(やっぱり秘境みたいな温泉にしなくて良かった…)

汗ばんだニノミヤカズナリに

背中に回した手で必死にしがみつきながら、やっとそう思えた