12月12日 ― 恋堕好日 ― (ページ17)

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□05. ページ17

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話を聞いたニノミヤカズナリは

私の前で笑いを堪えてる

ちょっと小バカにしたような目つきも

うん、きっと気のせいじゃない

「……何か可笑しいこと言いましたっけ？(怒)」

ニノ「いや、ごめんごめん。違うんだって(笑)」

辛うじて腕で口元を隠してるけど

もはや完全に笑ってるのは間違いない

ちょっと優しそうに見えたからって

どうしてこんな男に身の上話なんてしちゃったのか、

ていうか勝手にサスペンス気取って覗き見なんてしたのが

そもそもの間違いだったって思ったら

こんなへんてこな傷心旅行を計画した時点で

もうなんか全体的にダメな方向に突き進んでたって気が付いた

「…だいたい、そっちだってなんか修羅場ってたし」

ニノ「あ、俺？…まぁ、ありがちな別れ話だよね(笑)」

せめて何かちょっとくらい、仕返しに笑ってやろうなんて思ったのに

切なそうに眉をひそめて、目を伏せたまま呟かれたら

さっきまで笑われてたことも忘れて

不覚にも心臓がキュンって音を立てた

・

ニノ「俺たち、なんか似た者同士…」

そう言うと、立ち上がったニノミヤカズナリが

ゆっくりと私が座るソファに近づいてくる

ニノ「…だからさ、慰め合おうよ」

さっきよりずっと低い声が、驚くほど心地よく鼓膜を揺らして

気が付くと目の前には、さっき弄ってたバスローブの結び目が見えて

それがゆらりと揺れるのと、腕を掴まれたのはほぼ同時だった

「…え？」

何が起きてるのか頭が追い付かなくて

目に入ったのが天井で、背中に感じるのがベッドだと気が付いた頃には

私はニノミヤカズナリに見下ろされてた

動けなかったのは驚いたせいだけじゃない

まだ少し湿ったままの柔らかそうな髪や

意外と男っぽい首筋とか、掴まれた手首にかかる体重に

そういうコトが、もうずいぶん久しぶりだと気付いて

長いことすれ違いばかりだった彼との日々が

いかに味気ないものになってたかを思い知ったからだ

別れた時だって、泣きたい気持ちになんてならなかったのに

不意に視界が揺らいで、私は慌てて目を閉じた

頭上で、ふっと小さく息を吐く音が聞こえて

ニノ「……やっちゃったな」

そんな声が聞こえた気がした